-短編-

□許さずとも(完結)
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「・・・志波副隊長の件だな?」(一角)
核心を突かれ、恋次は肩をびくりと震わせた。
裏切ったのだ。
仲間を、そして、世界を。
「・・・俺ら十一番隊もまぁ、裏切ったからな。上からの処分があれば、従う覚悟だ」(一角)
「・・・一角さんも、やっぱり・・・―。俺の事、許せないッスよね・・・―」(恋次)
「・・・・・―」(一角)
「まさか・・・!!旅禍の一人が・・・志波副隊長を好きだったなんて・・・!!」(恋次)
一瞬。
一角の表情が、苦渋に満ちた。それは単純に、波音の涙を思い出したからだ。それと、もう一つ。・・・どうしようもない嫉妬も、勿論、感じた。
「ああ・・・。許せねぇ」(一角)
あまりにも硬い声音に一角自身も驚いたが、恋次の驚きはそれ以上だ。
一角は、尚も言葉を続けていく。
「たぶん俺は、この先何があっても・・・・―お前の事を許せねぇ・・・・!!」(一角)
波音を、想えば想う程。
許す事など、不可能だ。
断固たる決意を示す一角の表情を見つめ、恋次は身も心も軋む感覚を味わいながら、目を細めた。
「けど、分からねぇ」(一角)
「・・・・―え?」(恋次)
「波音が、お前に俺と同じ事を言うかまでは、俺には分からねぇ」(一角)
大きく見開かれた、恋次の瞳。
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