<main>鋼の錬金術師オリジナル小説

□希望があるから ※休止中※
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東方、中央[セントラル]、南方、北方…―。

日々奔走し、目まぐるしく旅を続ける、エドワード・エルリックと、アルフォンス・エルリック。

賢者の石を追い求める一方で、小さないざこざから大きな事件までもが、二人の身に容赦なく飛び火するこのご時世だ。
さすがに、疲労の色は拭えない。

いつものように汽車に乗り込み、エドは開口一番であくびをした。
終いには首を鳴らす兄の姿を、鎧姿の弟がじっと見つめていた。
「大丈夫?」
「いつものことだろう、これくらい」
アルは尚も何かを言いかけたが、エドが寝る態勢をとり始めていたので、あえて黙った。

僅かにエドが窓枠に寄り掛かった時、何やら軽い音がした。何かが床に落ちたようだ。
アルが不審に思い、それを拾う。
「兄さん、これ何だろう……―」
「ん?ああ―…、なんかの部品だろう?」
と、そこまで口にして。

『……―、部品?』

見事に、声が揃った。
眠気は、この瞬間をもって一気に覚めた。
それこそ口を開け、お約束の形相で意味なく立ち上がる、エド。
更に鈍い音がして、ガコンッ―、と、最悪な音が耳を突いたのはその直後であった。

「またやっちゃったねぇ、兄さん……―」
「アル、俺、明日生きてねぇかも…―」
あの怒号と笑顔が、今この瞬間にもいっぺんに飛んで来そうだと、エドは頭を抱えながら、一人、小さく笑った。
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