<main>鋼の錬金術師オリジナル小説

□あの日 *完結*
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「オレが元の身体に戻してやる」
「うん。その時は、兄さんの身体も一緒だよ」

あの日、幼い兄弟は誓った。必ず、身体を取り戻すと。左足を失い、更には右腕を失った兄、エドワード・エルリックと、身体全てを失い、魂を鎧に定着させ、この世にその命を繋ぎ止めた弟、アルフォンス・エルリック。

錬金術は、二人にとっては遊びの様なものだった。幼い頃、家を出た父が残した多くの書物から、より多くの知識を学び、錬成してはその成果を母に見せて、喜ばせた。

それなのに。
大好きな母が、病気で死んでしまうなんて、誰が想像出来た?

人体錬成は、禁忌だと知っていたのに。

それでも手を染めたその結果は、残酷、かつ真実。

エドは、思う。
あの日、人体錬成を行わなければ、母を生き返らせようとしなければ、弟の身体が全てあちらに持っていかれる事は、なかった。人体錬成の話を持ち出したのは、確かにエドで。

エドは、心に刻んだ。あの日の、約束を。

それから暫くして、史上最年少の国家錬金術師が誕生した。軍の狗であっても、エドが国家資格を取った目的は一つ。

弟の身体を取り戻す為、国家権力を駆使してでも、手掛りを掴む。

二人の旅は、前途多難である。
 

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