<main>BLEACHオリジナル小説 -長編- 第一章

□future〜第一章〜出会い・修行編A日番谷冬獅郎登場!!
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虚[ほろう]が喋っているのを初めて見た桃は、動揺しつつも、後ずさって斬魄刀を構えた。
「・・・・つっ」
「ん・・・?貴様、死神ではないな?全く霊圧が感じられん」
「……死神って?」
今の桃には、この世界において、その存在がどういうものか分からない。
「答える必要はなかろう!何故ならお前は、私に食われるのだから!!」
一気に、虚が進み出る。


「参ったなぁ。バラバラに飛ばされちゃったかぁ」
その頃、“いの”は考えていた。
どのみち、ひとりでこの広い未知なる森を進むには、無理ではないかと。
とにかく、今は合流することを考えるべきだと思った。
そう思い、直感ながら、桃においては、それなりの底力があるように感じられた。
ただ、一方の波音はと考えて・・・。どうだろかと、思わず首を捻る。
「よし!波音って子捜そ」
刹那、一歩地に足を着けたのと、ほぼ同時に。凄まじく何かが降り立った音が、背後で響いた。
「!!」
その場を咄嗟に避けたのは、正解だったのだ。
「獲物・・・!!」
「て、人の心配をしてる場合じゃぁないか・・・!!」
いのにも、虚の魔の手が。


ひとりは、嫌だ。
何の頼りもない薄暗く不気味な森で、案の定、波音は涙を堪えきれず、ただただ泣き続けていた。
修行なんて、どうでもいい。
とにかく早く、家に、自分達のいた元の世界に帰りたいのだ。
他の、ふたりは。
自然と、泣きながらもそう頭に浮かんだ。
涙は引っ込まないが、とにかく心細くて、波音はふらりと、ようやくその場から歩きだした。


「動きがいいな小娘!!」
桃は依然戦闘中で、虚が放つ粘着物を、永遠と避け続けていた。
徐々に、違和感のようなものを覚えた。
体力は確かに消耗してはいくが、どれも避けられはするのだ。
そこに不自然を感じる。わざと外しているのでは−、とさえ思った。
そして気付く。
既に辺りは蜘蛛の巣のようになっていて、逃げ場がないのだ。
「この為に・・・!」
「もう遅い!!」
今の自分に、これを突破出来るほどの策も、ましてや実力もない。
まだ何も出来ていないのに。
まだ、何も分かってなどいないのに。
猛然と迫りくる虚を確と捉えて、今度こそ駄目かと思い、きつく、目を閉じた。

この時、この瞬間。
運命の出会いが、その後の道筋を大きく変えた−。
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