<main>BLEACHオリジナル小説 -長編- 第一章

□future〜第一章〜(前編)出会い・修行編@
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意志の強さが、全てを決める。
それが、ソウル・ソサエティという未知の世界−。

少女の放つ、淡い光が、ソウル・ソサエティの上空へと。
「!・・・あれはっ」
日番谷冬獅郎が、声をあげる。
「ついに始まったか・・・」
猫(仮)の姿でそれを認めた、四楓院夜一。彼女も、この瞬間を待っていた。
「メイデン様・・・!」
朽木ルキアも、いざ、役目を果たさねばならない。

現世、東京。
全ては、運命だった。
そう、あの日までは、互いを知る事もなかったのだ。
その後訪れた奇跡的な出会いが、彼女達の、全てを変えた。

雛森桃。
都内の高校に通う彼女は、今。
都内の公園にて、二人の友とバレーをしていた。
小柄で、わりと童顔。団子結びが特徴の、何とも和やかな雰囲気を持つ少女だ。

宝生波音[ほうしょう はのん]。
彼女も、都内の高校に通っている。肩の辺りまで伸びた髪は、首筋からウェーブ状になっている。
友の誘いを断り、彼女は今、一人音楽室でピアノを奏でていた。

山中いの。
艶やかな髪を、ポニーテールにするのが本人のお気に入りなのである。
端正な顔立ちは、片側に長く伸びた前髪によって、僅かに隠れている。
彼女は、弓道が好きなのだ。
幼なじみの、羽矢見功[はやみ つとむ]の影響を受けて。
彼はこの日も、練習中の女子弓道部に……ではなく、いのに会いに、わざわざ顔を見せたのであった。
この日は、休日。午後には練習が終わる事を知っていたので、いのを誘いに来たのだが、友達と帰るからと、あっさりと断られてしまったのだった。

「桃ぉ!ごめぇん!ボール取ってぇ!」
例の公園で、桃は友である“たつき“に言われた通り、ボールを取りに行った。
すると……。
遠巻きに、ふたりの友を、背後に控えて。
桃は、見てしまった。
歪つな、容姿。獣?
いや、そんなものじゃない。
例えるならば…−、化け物だ。
やけに無機質に、纏う仮面の奥からも何も見えず、けれど圧倒的な存在感を放って、そこに立っていた。

それが、虚[ほろう]という、生き物とは知らずに…。

恐怖で全身を縫い止められた桃に対し、その化け物は、触手のような手を振り上げ、容赦無く叩きつけてきたのである。
無論、桃は避けようもなく、それを受けて倒れ込んだ。
痛み以上に、動揺と困惑で、冷静な判断などつかなかった。
声もあげられず、必死に身を起こそうとする。
だが、その間にも、事態は益々悪化していた。
「な……に……?」(桃)
ふたりの友、たつきと、織姫が。
桃の様子に面食らい、絶叫していた。更にはその一瞬に、何故か、弾き飛ばされたのだ。
得体の知れないそれが、桃の次に彼女達に目をつけ、襲ったのだ。
ゆらりと顔を動かし、暗い眼で再び桃を捉える。
「たつきちゃん……。織姫、ちゃん……!」
恐怖こそ感じたが、桃は、それを消し去るかの如く自らの唇を噛んだ。
このまま死にたくはない。
たつきも、織姫も、勿論死なせたくはない。
桃の中で、何かが背中を押した。
不思議だが、何かに促されるように、強く。
もう、この胸に在るものは、痛みや、恐怖などではない。
己さえも知らない、未知数な力がそれらを凌駕した時、桃の鼓動が、ドクンッ…と、激しく跳ねた。
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