君を想う

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 冬の中旬で世間では、世に言うクリスマス・イブだ。だが、俺たちにはそんな事は、関係なしに、絵に没頭していた。

「あっ青の絵の具無くなった。ウタちゃん、青の絵の具のストックってあったけ?」

「ねぇ〜だろう。つーか、お前それ昨日買ってきたばっかりのやつだろう。」

「そうだっけ?だって、描く範囲多すぎだよ、コレ。」

そう言って、ムラサキは今描いている絵を見た。
サイズは壁一面の大きさだ。しいて言うなら畳六枚分位だろうか、さすがに俺もコレは大きすぎたなと思ったぐらいだ。

「お前が、考えもなしにやるんだったら、大きいのが良いとか言うからこのサイズになたんだろうが。」

「そうーだけど、やっぱり大きすぎたね。次ぎやる時は畳四枚ぐらいで良いかもね?」

俺は、唖然とした様に、ムラサキを見た。
この一作でかなりの時間がかかるのにまたやるつもりなのか? しかも、畳四枚分でも随分とデカイ様な気がするのは、俺だけなのだろうか?

「人生は、長いようで短いんだよ。もう一作品ぐらいできるってぇ〜」

「短いんだったらダメだろう。」

「あっそっかぁ〜あはは。」

コイツとは、もう一年の付き合いになるがいまだに真面目なのかそうじゃないのかの判断が難しい。

「ねぇ、ウタちゃん。画材買いに行かない? 他に無くなったやつ多いでしょ?」

「そうだな。買いに行くか。」

俺は、そう言って立ち上がり冬使用のファーつきの黒のパーカーを羽織った。
ムラサキを見ると、白のコートを羽織って行く準備が出来ていた。

「ひゃーどこもかしこもクリスマス一色だね。ケーキでも買って行こうよ。」

「もう、良いやつは全部ねぇだろう。それに、家帰ったらちゃんとしたやつ食べるんだろ? だったらコンビニの小さいケーキ買った方が得策だな。」

「そうだね。ついでに、クリスマスっぽいものも買ってよ。」

そう言って、ムラサキは俺にしがみついてきた。どうやら、そのクリスマスっぽいものは全部、俺が自腹を切って買えと言っているらしい。

「全部、俺の自腹じゃあ買わねぇぞ。」

「えぇーウタちゃんのケチ!」

「お前も半額出せよ。お前も食べるんだから。」

「えっじゃあ買って良いの?」

「半額出すならな。」

「ありがとう、ウタちゃん!」

そう言って、ムラサキは満面の笑みを浮かべた。
ムラサキのこんな表情見れるんだったら買うと行って良かったかもしれないな。

 そんな事を思っているうちに画材屋についたので、目当ての物や無くなりそうな物を買って、俺たちはコンビニへと向かった。


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