君を想う
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「コレが、俺とムラサキの出会いだ。」
「変な出会い方だね。」
「あぁ、俺でも今思い出しても変な出会いだと思う。」
「そうだ、桐原さんってどんなだったの?」
どうやら、雪はこの話が気に入ったらしい、
目を輝かして聞いてくる。
俺も、昔を懐かしんでも良いだろうと思い、雪に語った。
「そうだな、同じ絵描きとしては、ムラサキの作品は魅力的だかずっと一緒に居るのは、嫌だなと思ったな。第一印象が、うるさいだったからな。でも、アイツはそれを予想以上に裏切ったよ。」
「えぇ〜何で?」
「確かにうるさかったけど、ムラサキと居る時間は有意義な時間が多かったからだな。」
「有意義?」
あぁ、雪は他の小学生より言葉を知っているから普通に話していたけど、意味が分からないときもあるんだった。
「意味のある時間って意味だ。」
「へぇ〜何で、そんなに仲良くなったの?」
「そうだな、席が隣同士で、アイツが必要以上に俺に絡んできたて流れで、入るつもりも無かった部活に入らされて、挙句の果てには、同じ委員会にされたからじゃねぇか。」
「そんなに、一緒にされたんだ。」
「あぁ、土日はなにかと言って、一緒に絵描いたり、画材を買いに行ったりしてたからな。」
雪は、土日も一緒に居たと言ったら口をアングリ開けていた。
まぁ、驚くのも無理ないだろう。
実際に今思うと俺でも驚きなんだから、一緒じゃない時間といえば、昼食の時間と登下校の時間くらいだろう。でも、昼食が終わったら残りの休み時間は美術室行って、絵を仕上げていたからな。
「そんな、四六時中一緒にいて飽きなかったの?」
「飽きなかったな。ムラサキと一緒に居ることは楽しかったからな、アイツは、固定概念というものが無かったから。」
「例えば、どんな?」
首をかしげながら、雪は聞いてくる。困ったな、ムラサキの行動は子供に言っていい物があっただろうか? あぁ、でもこれだったら言ってもいい物だろう。
「例えば、細い筆というより、筆で絵を描くのが苦手だったから、いろんなもんで描いて自己流の技法を編み出していたから、それを見てるのは勉強にもなったからな。」
「へぇ〜シキにぃが人を褒めるのを初めて聞いたよ。」
「雪、お前、何気に失礼なことを言いやがったな。でも、本当のことだから否定はしないがな。」
実際にムラサキは、色々なものを使って居たな、スプレーだったり、布、挙句の果てには手で絵を描いたりしていた。豪快でそれが、俺に新鮮だった。
「ねぇ、桐原さんとは絵を描いたりとかしかあそんでないの?」
「いや、絵を描くために、人に例えたマネキンを燃やしてみたり、沈めてみたりして遊んだこともあったな。」
俺は、夕日が沈んで真っ暗になった窓の外を見ながら言った。
雪を見たら、二三歩後ろに下がっていた。まっ当然の反応だろう。
「シキにぃ、今でもヤバイ人だけど、昔の方がもっとヤバイ人だったんだ。」
「おい、人が薬中みたいに言うなよ。それに、俺だけじゃなくてムラサキもヤバイ人だから。」
ムラサキもと言ったら、雪の表情が変わった。
そういえば、雪には絵を描いてるときのアイツの様子を話してなかったな。後で、話してやるか。でも、今日はやめておこう。
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