君を想う
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「俺も、アンタに知ってもらえて光栄だよ。」
「アンタじゃないよ! 紫、姫、紫姫だよ。ウタちゃん!」
「ウタちゃんてなんだよ。つーか、いきなりあだ名呼びかよ。」
生まれて、十六年そんなあだ名で呼ばれたことは初めてだぞ。
「えっだって、アタシと同じ名前でしょ。それで、ちゃん付けって自分の名前呼んでるみたいで嫌だったから。詩の呼び方を代えてウタと呼んでウタちゃん! かわいいでしょ?」
「男にかわいいは褒め言葉じゃない。それになんだ、最初の方の自分勝手な基準は・・・」
「えぇ〜いいでしょ? ウタちゃん。」
何を言ってもこのあだ名を代える気は無いらしい。だったらこっちにも、考えがある。
「だったら、俺はアンタのことをムラサキと呼ぶからな。お前と同じ基準で言わばそうなるからな。」
「えぇーせめて、ユカリとかならないの?」
「それだったら、普通の名前と代わらないじゃねぇか。」
「むぅーじゃあ、ムラサキでいいよ。これから、よろしくね。ウタちゃん。」
「よろしく。」
どうせ、もうコレで会う事もないだろうと思うけどな。
「じゃあ、さっさとクラス行こう。」
「嫌だ、俺は此処で寝るから。それに、ムラサキとはクラスが違うだろう。」
「なに言ってるの? 同じクラスだよ。」
「はぁ?」
「だって、アタシ1-2だもん。だから、これから末永くよろしくね。」
ムラサキは、満面の笑みで言ってきた。俺は今思うとこれは、悪魔の笑みだったんだろう。
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