君を想う

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「ふぁ〜よく寝た。それにしても、夢の中でもアイツの夢かよ。」

俺は、そう言ってゆっくりとした動作で上半身を起こした。

 ムラサキとの出会いは、高校に入ってからだが名前だけは昔から知っていた。
いろいろなコンクールや展示会には、必ずムラサキの絵はあったからだ。
 俺は、毎度ムラサキの絵を見ると思うことがあった。『コイツは俺と同じ人種だ。』と・・
実際にムラサキも俺のことは、名前だけでも知っていたらしい。
それに俺と同じことを思っていたようだ。

まぁ、初めて会ったときは、こんな能天気なやつがあんな絵を描いていたのかと、一瞬人間不信になったが、アイツの絵の描き方を見てから、納得したがな。

 アイツの絵を描くときいつもの明るい雰囲気が消え、表現するなら、春先の海に入ったときのヒンヤリと肌を刺すような冷たさを感じさせる雰囲気で、絵を描くその様子はまるで、童話の中に出てくる雪の女王の様に気高く、凛としていて綺麗だった。

あぁ、俺はなに、柄にも無いことを考えてるんだか。そう思って、またポスリッとソファーに倒れこんだ。















 なぁ〜ムラサキ、俺たちは良くも悪くも似すぎていたんだよな。
俺は、あの時から後悔ばかりだ。
お前は、過去に囚われるのはバカっぽいと言いていたな。
あの時は、俺もそう言ったがやっぱり無理だ。
だって、そうだろ。
過去があるから今があるんだから、過去を囚われるなってことは、お前を忘れることなんだからそんな事できねぇよ。
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