君を想う
□プロローグ
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あぁ、眩しい。
どうやら、描くのに夢中で寝ることを忘れいつの間に朝になっていたらしい。
そのことを、意識し始めたら睡魔が急激に襲ってきた。
ちょうど、きりの良いとこまで仕上げたから一眠りしょうか?
いや寝よう。もう、体が悲鳴を上げている。
お気に入りのソファーにお気に入りのブランケット。この二つが揃っているならあとは素直に眠るだけだ。
深く、深く思考を閉ざし、何も考えずただ身を任せ眠ろう・・
バンッ! 壊れそうなぐらいの勢いでドアが開いた。
あぁ、誰だ。俺の睡眠を邪魔するやつは・・
「シキにぃ、ヒマだからあそび来たよ! あそんで!」
「雪・・お前が暇でも俺は暇じゃないの! それに、小学校はどうした?」
「えぇ〜今、寝ようとしてるでしょ? それに今日は、日曜日だから学校はお休みだよぉ〜」
あぁ、うるさいのが来た。
これは、俺の従兄弟で宮野 雪だ。
小学生のクセに口が達者で人の揚げ足をとるのが趣味みたいなクソ生意気なガキだ。事実さっき俺が揚げ足をとられた。
そして、今日は日曜日なのかとしみじみ思ったりもした。ここしばらくは、徹夜続きだったので曜日感覚が狂っているらしい。
「シキにぃ? ついに、頭狂っちゃた?」
雪は、可愛らしく首を傾げながら聞いてくる。
人が黙っていることを良いことに好き勝手言ってくれる。少しムカッとしたので、いじめることにしよう。
「雪・・ちょうどいい時に来たな。今度の絵は、子供が棺に入ってコンクリートに埋められるとこを描こうと思ってたとこなんだ。お前、モデルやれ。」
「ちょっシキにぃ、冗談に聞こえないから! 笑ってるのに目が笑ってないよ・・それに、棺持ってこないでよぉ〜」
生意気でもやはり雪は、ガキだな。
そんなことは、本当にやったら今のご時世すぐに、警察行きだ。
まっ昔の俺だったら、迷わずやったかも知れないがな。
そう思いながら、棺を片隅に置いて、まだ怖がっている雪に目をやったら何かを抱えて部屋の隅に移動していた。
「なぁ、雪。お前その手に持ってるやつ何だ?」
「えっあぁ、お母さんがシキにぃの部屋掃除してたら出て来たから行くんだったら届けてきなさいって。」
「春乃さんが?」
雪は、そう言って持っていたものを俺に渡した。よく見るとそれは、アルバムだった。
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