番外編&短編

□出会い
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「藤村さんに雪村さん、席を付けてくれないかしら?」

「「いやです。」」

ハモった瞬間、睨み合いが始まった。
つーか、どこのガキだよお前らは・・・

「えっ?いやでも、他のみんなは付けてるんだから2人も付けましょ?」
「どうして、他人と同じことをしなくちゃいけないんですか?」
「みんな、同じように分類するのは個人の良さを無くすことになると思いまぁ〜す。」

どんな屁理屈だよ。
センセー困ってるぞ。
あっちなみに、俺はサボりじゃなくて自習時間だから着てるだけだから。

俺だけじゃなくて蓮も明臣も居るからね。

普通は先生に連れ戻されそうだけど、ウチのクラスの担任は居眠りしてるしね。

朔夜のとこは、朔夜や藤村さんに困ってるから俺たちまでには、気は回らないだろう。

「あの2人なんで、後ろの席なのか知ってる?」
「えっ?知らなぁ〜い。」

蓮は、唐突に言ってきた。

俺はその理由を知ってるから観察に集中する。

「席離すにも、限度があるから一番後ろの他の生徒が居ないなら気を使わないだろう?だから勝手に席移動させてるんだって。」

「そんなに自由でいいのかよ。それに、あそこだと、先生が後ろ歩けないじゃん。」

「バカ臣、そんなのあの2人が気にすると思ってるのか?」
「バカじゃねぇ〜し、思わない。」

俺たちはまた2人の観察を始めた。

確か、その夏の自由研究は『雪村朔夜と藤村泪の日常』ってタイトルで提出した。

理科の先生はノリが良かったし、その意味不明な自由研究にうけって俺たちは好成績を貰ったのを覚えてる。




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