死にたがりの死神と生きたがりの病人
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「いやぁぁぁぁああああ!」
「おい、どうした!?カノン!すごいうなされてたぞ。」
「えっ!ルイ?ごっごめん怖い、夢見ちゃって・・・・」
起き上がって周りを見たカノンの視界に入ってきたものはいつも見慣れた病室に心配そうにそれでいて驚いた顔をしたルイトの顔だった。
ルイトを心配させないようにとっさに嘘をついた。
バレナイ自信はあった、昔ならともかく今のカノンは感情が出にくくなってきているのだから・・・・
だが、カノンの予想とは違いルイトはムッと顔をしかめながらカノンに問い詰めてきた。
「カノン、嘘つくな・・・今のお前、すごく辛そうだ、そして悲しそうな顔してる・・・」
「ハハ、ルイはすごいね。今の私は、感情が出にくくなっている上にこの前髪で顔の半分も見えないのに・・・」
「はぁ!今の、私ってなんだよ?」
カノンはルイトの真剣な顔を見て場違いかもしれないが笑ってしまった。
笑うといっても今までの無邪気な笑顔と違って乾いたようなあきらめた人の笑顔だった・・・・
ルイトはそんなカノンの様子を変だとも思ったがカノンの言動の『今の私』という言葉が気になった。
カノンはそんなルイトを見て窓際に移動し窓を開け夜風にあたりながら話そうとルイトを窓際まで呼んだ。
「ねぇ〜ルイ、少しだけ昔話をしてあげる。」
ルイトが隣に来たことを確認するため横を向いた。
長い朱色の髪が夜風でたなびいていつもは見えない顔がハッキリと見え月明かりがあたり薄っすらと光っているように見える。
(うわぁ〜なんだか、いつものカノンと違って大人っぽい?いや、違う何か根本的な何かが違う、なんだ?なにが・・・あっ分かった、冷たいんだ。カノンは無表情でも何処か温かみがあるけど、今は何もかも拒絶するような冷たさがある・・・・)
そんなことをルイトが思っているとカノンは儚げなそれでいて大人っぽい笑みを浮かべながらは語りだした。