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□にちじょう
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02.幼馴染み

 早くに家を出てしまった私は、とある教会の前にいた。
 だからって私は別にこの教会の信者なわけではない。
 この教会には幼馴染みが住んでいるのだ。

 勝手に門を越えて、ドアの前のチャイムを鳴らす。
 しばらくすると、インターフォンから声が聞こえた。
『はい?』
 幼馴染みの声だ。
「ちょっと早いけど来ちゃった。」
『はい、もうちょっとで準備できるので待っていてください』
「はぁい。」
 ガチャリと音がして、声が途切れる。
 時間もあるし、ケータイでネットでもして時間でも潰そう。
 そう思って、ゲームサイトに繋いだところでドアが開いた。
「お待たせしました。」
 そう言って幼馴染みが姿を現す。
 彼はフェリオ。
 本当は男なんだけど、顔は女である私以上にかわいらしくて、身長も私より少し高いくらい。
 顔も性格もかわいらしい、とっても大好きな幼馴染みだ。
「今日は早かったですね。」
「ジェルマとちょっと。」
 するとフェリオは苦笑いを浮かべる。

「リズさんも大変ですね。」
「んー。」
 私は首を捻る。
 大変じゃない、とは決して言わない。
 だけど、フェリオの方が大変ではないか、と思う。
 本人は気にしていないけど、フェリオにも色々と事情があるのだ。
「まぁ、何だかんだ言って、血が繋がってるから――。」
「そうですか。」
 フェリオが寂しそうに笑う。
 地雷だったかも。「それより、数学の宿題した?」
 今日は一コマから数学。
 嫌がらせとしか思えない時間割だ。
 頭はまだ働いていないし、何より毎回宿題を出すくせに、休み時間に宿題をするということができない。
「はい。でも、計算式が合ってるかイマイチわからなくて――。」
「私も。学校で答え合わせしようよ。」
「はい。」
 私もフェリオも、――私は特に――数学はすこぶる苦手だ。
 でも科学は得意だけど。
 私はたぶん、理系なんじゃないかと思う。
「数学の先生は本当に意地悪ですから。」
 フェリオは顔を歪める。
 間違った答えを言おうなら舌打ちをする。
 そんな先生なのだ。
 だから私もフェリオも数学は余計嫌い。
「本当に何であんなに意地悪なんだろうね。」
「人生損してますよ。」
 私とフェリオは学校への道を歩いた。
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