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□にちじょう
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01.自己紹介

 私の名前はリズ。
 毎日幼馴染みと登校している普通の高校一年生。

 私の朝は騒がしい。
「ママ、おはよう。」
「リズぅ。おはよう。」
 そう朝一番に言葉を交わすのは、私と姉妹によく間違えられる母。
「パパは?」
「昨日も帰って来なかったのよぉ。」
 そう言って母は唇を尖らせる。
 私の父はとても有名な研究者だ。
 何の研究をしているのか、難しくてイマイチ私には理解できないけど。
 だからよく大学の研究室にこもって家に帰って来ない。
 それで一方的に母が怒るのだけれども。
「もうすぐご飯できるからねぇ。」
「うん。」
 私は椅子に座る。
 テーブルの上にはサラダが三つ並んでいた。
「リズ、コーヒーいれてくれる?」
「うん。」
 私は座った椅子を立ち上がる。
 それとほぼ同時に階段が軋む音が聞こえてくる。
 自然と顔が歪んだ。
「今日は起きてくる前に行こうと思ったのに。」
「無駄よぉ。」
 母はころころと笑ってトーストに目玉焼きを乗せる。
「ジェルマはリズが大好きだもの。」
 私は好きじゃないんだけどな。

 ジェルマがリビングに顔を出す。
 大嫌いな兄。
「リズ、おはよう。」
「――。」
 仕方ない。
「――おはよう。」
 私は小さな声で答える。
「はい、ジェルマ。おはよう。」
 椅子に座ろうとするジェルマの前に母はトーストを置く。
「あぁ。」
「ジェルマぁ、今日は何時に家出るのぉ?」
 ジェルマは面倒臭そうな顔をする。
「昼。」
「あらぁ。早いのねぇ。」
「リズ高校に送って行くからな。」
 気持ち悪い。
 私は立ち上がった。
「――学校行く。」
「じゃあ俺も。」
「付いて来ないで!」
 私はジェルマを睨みつける。
「ふざけるな。リズに何かあったらどうする?」
「はいはい。」
 母がジェルマの肩を掴む。
「大人しくしましょうねぇ。」
「あ?」
 私は無理矢理お腹にパンを詰め込んで、玄関に向かって走る。
「待て、リズ!」
「待つのはアナタよぉ。」
 後ろから、奇妙な音が聞こえる。
 だけど、私はそれを気付かないフリをした。
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