get

□In Mirror World
3ページ/12ページ

「友達がほしいって?」
「リズ。」
 レオナールは不機嫌さをあらわにする。
 けれども私はそれを気にしない。
『私、体が弱くて、友達あまりいないから』
「嘘の可能性もある。」
「でも、本当だったらかわいそうですよ?」
 フェリオも鏡を覗き込んだ。
「わ、私でよかったら――。」
 得体の知れない無表情な彼女。
 だけど。
 私が抱いていたのは、同情か、憐れみか、単なる好奇心か。
「鏡越しでよかったら、友達に、ならない?」
『ありがとう』
 その瞬間、鏡の中の彼女は消えた。
 そして、レオナールに頬をつままれる。
「リズ、お前は軽率過ぎだ!」
「だ、だって。」
「レオナールさん、待ってくださいよ。」
 仲裁役として、フェリオが間に入ってくれる。
「相手も鏡の中なんですから。何もできませんよ。」
「物理的にはな。だが魔術的、呪術的にはどうだ?」
 たしかに、そこら辺は鏡を媒体として術を施行できたりする。
「だ、大丈夫だよ。」
「根拠は?」
「――呪術師の勘?」
 レオナールは大袈裟に溜息を吐いた。
 そして、椅子に腰掛ける。
「何があっても知らないからな。」
「大丈夫だよ。」
 きっと、大丈夫。
 私は鏡を見つめる。
 けれども、今回は何も起きず、じっと私が私を見つめているだけだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ