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□In Mirror World
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[始まりは]
最近、鏡を見ていると、一瞬だけ、本当に一瞬だけだけど、私じゃない他人が映る。
とても無表情な少女。
暗い顔の少女。
私と同じ赤系統の髪をしているけど、とても綺麗な、夕焼けみたいな朱色の髪。
その朱色の髪の底から覗く、深い深い海のような碧色の瞳。
彼女は誰だかわかならい。
でも、私でないことだけは確か。
ほら、今だって。
鏡の中の虚像の私に、重なるように現れる彼女。
でも、いつもと様子が違う。
いつもなら、すぐ消えてしまうのに。
彼女は私の虚像を乗っ取って――。
完全に彼女になった、鏡の中の私。
唇がかすかに震える。
『あなたは、だれ?』
そう言われた気がして。
「レオ! フェリオくん!」
急に怖くなって、私はぼさぼさの髪のまま、部屋を飛び出した。