心霊探偵 八雲
□飲んでも飲まれるな
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フッと読んでいた本から眼を上げると、窓から見る風景はもう、日も落ちて暗闇が広がっていた。
(随分と集中してしまったな。)
そんな事を思っていたら、ドアが勢いよく開けられた。
バァーン!!
「八雲君!!お酒飲まない?」
「君は、人の部屋に入る時はノックをするという常識は知らないのか?」
八雲は、うるさいとアピールするかのように耳を指でふさぎながら言った。
「ノックしても、返事しないでしょ?八雲君の返事待ってたら日が暮れちゃうよ?」
「だったら、安心しろもう日は暮れているから、そんな心配をする必要は無い。」
「もぉ〜相変わらずの減らず口なんだからぁ〜」
「君は、そんな事を言いに来たのか?だったら、出口は君の後ろにあるから帰ってくれ。」
「違うわよ、入ってくるときに言ったけど、お酒飲まない?」
それを聞いた八雲は、露骨に顔を歪めながら言った。
「僕は、お酒が飲めない。」
「えぇ〜八雲君ってすっごくお酒飲めそうなイメージなのに!!」
「君は、僕をどんなイメージで見ているんだ?それより君は、飲めるのか?下手したら中学生にも見られるような外見をしているのに。」
八雲は、ニヤリと笑った。
「飲めます、失礼ね!!それに、そこまで童顔じゃありません!!」
晴香は、自分で言っていて空しくなった。
(私は、それほどまでに子供っぽいのだろか?)
晴香は、シュンとうなだれた。
「で、君はどうしていきなり酒なんて誘ったんだ?」
「えっあぁ、バイト先でたくさん貰ったから八雲君と一緒に飲もうかなぁ〜なんって思ってたんだけど、飲めないなら仕方ないね。別の人と一緒に飲むね。」
晴香は力なく笑いながら言った。
「はぁ〜ここで飲んでいけ。他で飲んで君が酔ってトラブルを起こして僕に迷惑をかけに来るより、最初からここに居た方が僕の手間がはぶける。」
(言い訳臭くなったか?)
そんな八雲の比喩も気にせずに晴香が言った。
「えっでも、八雲君飲めないんじゃいの?」
「全く飲めないと言ったわけじゃない。」
「じゃあ、一緒に飲もう!!いろいろな種類のお酒あるしそんなにアルコール度数が高くないヤツもあるよ。」
そう言ってテーブルにお酒を置いた。
「本当にいろいろな種類があるな。」
テーブルの上には、酎ハイ・日本酒・焼酎・果実酒・ビール・洋酒などなどいろいろのお酒があった。
八雲は、そんなにアルコール度数が低い酎ハイを口につけた。
そして、晴香は焼酎をロックで飲み始めた。
たわいもない話をつまみにお酒を飲んでいく。
といっても、相変わらず八雲は相槌を打つだけで話すのはもっぱら晴香だ。