小説U

□Q&A
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「突然だけどクイズ!そこに存在するのに絶対見えないものって何?」

「さぁ?」

久しぶりに日向と一緒に帰っていると何を思ったのか急にこんなことを言い出した。
俺は気のない返事を返す。
日向のテンションがおかしい時はろくなことがない。

「じゃあヒント!イタリア語でアモーレ」

「…何だっけ?お前、よく知ってたな」

まだ諦めてないらしい。
きっと俺が正解を言うまで止めないんだろうな。

「最後!俺はお前との間にそれがあると信じてる」

「尚更わからない」

即答したからってそんなに落ち込まないで欲しい。

「大大大サービス!"あ"から始まって"い"で終わるもの」

ヒントって言うより答えだよな、これ?
是が非でも言わせる気だな…しょうがない。

「…愛?」

「正解!!さぁ俺たちの愛を更に深めるために、これから俺の部屋に…」

ほら、ろくなことがない。
ここは少し意地悪してやろう。

「先に約束があるからまたな。それとキモい」

「…………………え、ちょ、嘘だろ!?」

言い過ぎた。
それにしてもフリーズし過ぎだろ。

「嘘だよ。少しからかっただけだって。…明日学校休みだし遊びに行ってもいいか?」

「もちろん!そうと決まれば早く帰ろうぜ(やりたいことたくさんあるし…今日は寝れないな)」

俺には人の心を読む特殊能力なんてないはずだ。
それなのに日向の心の声は分かる。
なぜなら顔に書いてあるからで…今だってニヤニヤしてる。
正直言って少し気持ち悪い。

「この間みたいなことはするなよ…痛くて歩けなかった」

「たぶん、大丈…夫。でもあれは音無が誘ってきたのが悪い!」

責任転嫁された…
前回のは日向ががっつきすぎて酷い目に遭った。

「誘ってなんか///」

「いいや、あれは…」

「日向が無理矢理キスして来たからだろ!!!」

日向の言葉を遮り、俺はここが住宅街だということも忘れ柄にもなく大きな声を出してしまった。
言った途端に恥ずかしくなり周りに人がいないか確かめる。
運の良いことに野良猫が通りすぎただけだった。

「そんな叫ばなくても…仕方ない。今夜はゆっくり、じっくり、焦らして…音無から『もう!滅茶苦茶にして///』って言わせてやる」

「…もう帰る!」

「えっ…悪かったって待てよ、おい!音無ぃぃぃ!!」



それから一週間接触禁止になった日向だったが、結局3日目に我慢の限界が来て…
音無が日向の言った通りになったのはそう遠くない未来――




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