「それにしても、腰椎圧迫骨折なんて君、年寄りみたいですね」

ベッドに張りついているボンゴレのボスにむかって、霧の守護者はそういった。

「ばかにするなよ…これ、すげー腰痛いんだぞ…
痛すぎて全く動けない
激痛だ、激痛」

引きつった顔でそういうボスに、骸は満面の笑みをかえす。

「クフフ…なぜよけなかったのです?君ならば容易かったろうに」

「わかってて聞いてるだろ…あーいってー
ていうかな、俺を笑いに来ただけなんだったらさっさと出てけよ…」

ボス・綱吉は顔を歪めながらため息をついた。
綱吉の骨折にはわけがある。
他のマフィアの連中に、任務で外にでたときに、少し立ち寄った街で襲われたのだ。ビルの屋上がら落ちてきた巨大な鉄骨によって。周りには一般人や、彼の部下もいた。彼がよけるということは、すなわち他の人間の命を犠牲とする行為だった。彼は避けず、落ちてきた鉄骨を全て受け止めてしまった。
その結果がこれだ。

骸が思いに耽っていると、綱吉は天井を見ながら半眼で、

「あ、報告書は置いていけよ、またこられても困る」

「連れないですねぇ、ボンゴレ。
せっかくこの忙しい合間をぬってあなたに会いに来たっていうのに」

「頼んでないよったく…
報告書を持ってくるのは骸の義務だろ…
それとも何、なんかあるの」

綱吉は横目で骸を見た。

「…そうそう、もうすぐお昼ですね」

「無視かよ
昼かあ、そういえば…
なんで看護師さんこないんだろ」

綱吉はお腹を押さえた。
先ほどから確かに空腹感がある。
ニヤリと笑った骸に、悪寒がした。

「ちょっと、何だよ」

「君、腰が痛いんでしたよね?
それじゃあ起き上がれませんよねえ。可哀想に、ご飯も1人で食べれないんじゃないんですか?」

骸がぱちんと指を鳴らした。
さっきまで何も置いていなかった床頭台のうえに、お膳に乗った食事が現れる。

「なんて準備のいい…」

綱吉は苦虫を噛み潰したような顔をした。
打って変わって骸はいい笑顔である。

「食べさせてあげますよ、ホラ」

そう言って、お箸とご飯を手に取った。

「お前なあ…看護師さん追い払ったのか!
くそっ手は動くんだよ!それこっちへよこせ!
自分で食べる!」

一生懸命手を伸ばす綱吉に、骸は首をかしげて微笑んでいる。
こうなったらもう、骸は人の話を聞かない。

「いやです。今じゃないとこんなことできないじゃないですか。
少しくらい、いいでしょう?
減るものでもない」

「いや!確実に減るから!俺のプライド的なものが減るから!勘弁してよー」

必死。

「じゃあ動けない君を襲ってもいいですか」

今、ここで。
綱吉の喚き声がぴたりと止んだ。

「食べさせて下さい、骸さん」

「いいですよ、綱吉くん」




Winner mukuro!



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