イナズマ文2

□Depression of midsummer
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・ほぼ全て模造注意
・病み風丸さん?
・風→円夏

・おとな円夏の結婚式に出席した欝丸さんの話

_________










大好きだった人

例えるなら…そう、


―――ひまわり




Depression of midsummer




純白のウェディングドレスに、漆黒のタキシード

響き渡るウェディング・ベルのなかに、それは麗しい男女の姿

幸せが溢れる空間に明かりを燈すシャンデリアには、中世の宮廷を彷彿とさせる飾り細工が施されている




誰が見ても分かる。

そう、今日は結婚式。




沢山の同級生やチームメイトだった人たちが招待され、俺もその一人だった。

しかし皆が婚儀を祝っている中で俺は一人、幸福の鐘の音に心を砕いていた。





(ふう……)

俺は外に漏らさないように心の中でため息をついた。

本当はもう、今すぐに帰ってしまいたかったんだ。

今ではもういい大人の男なのに、素直に結婚式も祝えないなんてどうかしている。



でも、なぜかって、

それは俺が花婿に恋をしているから。

初めて出会ったときから、ずうっと。

花嫁に対してならまだ理解できなくはないけれど、同性の花婿のために心を痛めているなんて、我ながらなんとも情けないよな。



…けど仕方ないだろ 好きなんだから。





俺の十数年秘めた想いは、芽吹くだけ芽吹いて花咲くことはなかったし、むろん伝えることもしなかった。

今日、彼の隣で微笑んでいるのはもちろん俺のはずはなく、それは美しい野薔薇のような女性。

ちらりと視線を投げると、新郎新婦が微笑みを交わしているのが目に飛び込む。




円堂のいつもらしからぬピシッとした印象が俺の心を射る。

すごく格好いい、凛々しい、円堂。

まるで絵のようだ。




胸が、痛い

2人付き合ってたのも、結婚を意識していたのも知っていたし、当たり前の結果ではあるけど‥

わかってるけど、思考が追いつかない







二人をぼうっと見つめながら俺は考えていた。


……これがほんとに、ただの絵だったらいいのにな。


今の気持ちは、例えば、ほら

美術館に行ったときに気に入った絵を見つけて、引き付けられてなんだかそこで動けない気分になってしまう…

上手く言えないけど、まさにそんな表現がぴったりだろうか。


美しい絵の前でずっと立ち尽くしているような感覚で、俺はただぼんやりとしていた。

とはいえ、誓いのキスだけは、顔を背けてしまって、見れなかった。


俺には眩しすぎたんだ。

心も、眼球も、焦げてしまいそう。





式場の近くには綺麗な海がある。

そして大きなひまわり畑がある。

挙式を夏に選んだのは奥さんの名前に"夏"が入っているからなんだってさ。


けど、俺のこころには、夏なんて来てない。

結婚することを告げられたあの日(…確か春だった)、それから俺の時はずっと止まったままなんだ。




いま幸せそうに笑っている、アイツ。

俺の気持ちなんか知らないで‥



あれから、「アイツ」は

俺の知らない、時を過ごし

俺の知らない、思い出をつくり

いつのまにか俺の知らない「アイツ」になっていたんだ




ガラス張りの式場から見える、色彩のちりばめられた景色は、

グレーの絵の具をこぼしたかのようにくすんでいる。

−−ように見えるのは、俺だけなんだろうな



快晴と呼ぶべき空模様も、深い、深い真っ青に見える。

まるで深海をそのまま写しあげたような群青色。



美しいというべき景観も、美しいと感じられない。

グラスに注がれた白ワインもなんだか濁って見えるし、味なんてわからない。

あまりに空虚な気分に、俺は自嘲気味に笑うしかなかった。




いつかこうなるということは、ちゃんと分かっていたし、しっかり割り切れると思っていた。

でも、今分かった。無理だ。辛い。苦しい。寂しい。虚しい。

でも涙なんて出ない。






ああ、



俺って



円堂を失うのが本当に怖いんだ






なんだか酷く胃が痛み出してきた。

外の空気を吸おう、俺は立ち上がる。


そこに、



「お−い!風丸」



不意に俺を呼ぶのは……

今一番見たくない、

幸せに溢れた新郎



「風丸、来てくれたんだな!」

「当たり前だろ」



ひまわりのような笑顔が俺の心に踏み込んでくる。


限界を超えた絶望感、虚無感は、むしろ俺の濁りきった心を綺麗にした。



「円堂、」


一切の汚い感情を取り払って、精一杯の笑顔をつくる。

今日誕生した夫婦に最大級の笑顔で、偽りの祝福を贈った。




「 結婚、おめでとう 」




――胸の奥で何かが砕ける音がした



それは、

心の壊れる音?



それとも、

祝福のベル…?







-fin-





-----


自分でも意味分からぬ…


補足させてください!

昔から円←風だったが、風丸さんは想いを隠していた。
まあ男同士だし…普通は言えないだろうよ。
あと風丸は、想いを通じ合わさなくても、円堂といつまでも一緒にいれるような気がしてたんだと思います。

しかし、円堂は風丸の想いに気付くことなく、普通に大人になって結婚して…というね!


好きな人の結婚式に出るとかつらいね…!
ノーマルでは円夏とても好きですが、やっぱ円風が私のジャスティス!

なんでこの話が書きたくなったんだっけww
たしか最初に考えてた題名は「ひぐるまの契り」だった気がします(恥)
3ヶ月くらい下書きほっといたから忘れたwww


ここまでご覧くださってありがとうございました!


2012.2.12

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