癸生川の二次創作小説

□回るる夢の先 《前編》
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「結局、お前が盗ったんだ!!三樹江!!」
「違います伯父様!
私は何も……」
「じゃあお前を見たと言っている虎太郎は嘘を言っているのか?
お前は自分の弟を嘘つき呼ばわりするのか!」
「でも…私はその時間はずっと寝ていたのです!
信じて下さい!」
「信じられんよ。
総将園の女はみな、嘘つきだからな!!」
「そんな…!
母は、母は…!伯父様を守ろうと…」
「うるさいうるさい!!!
お前は一生この家を出るな!
恥さらしだ!!!」

酷い事になった。
総将園三樹江(そうしょうえんみきえ)とその伯父、総将園州和(くにかず)の論争を、三樹江の弟、虎太郎は顔色変えず見ている。
その横では、家政婦の真智子がどうすればいいかわからないというような顔をして立っていた。
警備員である佐藤さんは、にやにやとしている。
私はと言うと…
三樹江さんが犯人では無い事を願って真犯人を考えるも…分らなかった。




ということで、こんにちは。
生王正生です。
今回、私は差出人の分からない依頼の手紙を頼りに、山奥の彼華村に行く事になります。
しかも、今回私は…一人なのです…



―20**年某日

「どうしたんだい?伊綱くん。
依頼の手紙と睨めっこして。」
伊綱くんは、事務所内をウロウロ…たえず歩いていた。
「生王さん、どうもおかしいんですよ。この手紙…」
「え…?
どういうことだい?」
「ほら見て下さい。」
伊綱くんが差し出した手紙には、こう書かれていた。

『助けてください。
永遠に繰り返される悲しみのループから。
私は見ているしかできないのです。』

そのあとには、ここに来てください。という文句と共に、住所が書いてあった。
「『永遠に繰り返される悲しみのループ』?
なんだそりゃ。」
「それにこの手紙…差出人がないんですよ。」
「はぁ…更になんだそりゃ。」
「ということで、生王さん行って来て下さい。」
「えええええっっ!!!
なぜ???なぜ???
伊綱くんも来るんだよね?」
「行きませんよ。」
「えええええっっ!!!!!何故なになの?」
「落ち着いて下さいよ。
子どもじゃないんですよ。」
「ゲフー」

私は、酷く冷たい紅茶を飲みながら、ソファで考えていた。
何故私が一人で…
なぜ?

なぜ?


なぜーーー???



考えている内に、私はいつの間にか書かれていた住所のもとに辿り着いていた。

しかし…
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