癸生川の二次創作小説
□秋思う
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手の平に紅葉を置いてみた。
綺麗だ…
何も考える事無く、道に落ちているものを踏んでしまう日常をおくっていると、気がつかないだろう。
この美は…
………なんて感傷にひたるとは、自分もまだまだ弱い人間なんだ…。
………分かっていた。
………自分の身体が脆い事は………
………でもだからと言って、最期を決めるのも自分ではないだろう……
人の感情を視ることが出来るお陰で、自分は他人よりも精神を容易に鍛える事が出来たと思う。
…でもたまには、弱くなってしまう。
「まだまだだな…」
ふっと溜息をつくと、秋の風が頬を撫でた。
遠くを見つめると美しい秋の山々が映える。
「りょーじさーんっ!」
女の子の声が、自分を呼んでいた…。
屈託の無い声。
あの子の声を聞くと、まだまだ頑張れる気がした…。
《おわり》
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