癸生川の二次創作小説

□新緑に煙草の香り
1ページ/9ページ

「いい天気ですね、先生。」
私、十六夜彩子は、新緑が香る空気を窓辺で吸いながら、先生―弥勒院先生に話し掛けた。
「うん。そうだな。」
先生は、愛想がある方ではない人だ。
だが、ちょっとした一言で、その人本来の優しさが感じ取れる様な人でもあった。
「ふわぁ…」
先生はあくびをすると、いつもの煙草に火をつけた。
もうすでに事務所内に染み込んでいる煙草の香りが、更に増した。
「彩子ちゃんは…」
「はい。」
妙に唐突な先生の会話。
最初は戸惑ったが、今はこれがこの人の特長なんだとわかっていた。
マイペースな人なんだなと思う。
「先に言っておくけど、大して他意はないからな…」
「?」
なんだろうなと思ったら、こういう事だった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ