世界が終わります
各国の首相、総理大臣、及び大統領が、国民に向けてそう発しました
じきに、太陽から放たれる膨大な熱風と放射線が、ピンポイントで地球に直撃するでしょう
結局、地球の科学は宇宙にはかないませんでした
結局、宇宙には地球の科学はかないませんでした
私達はもうすぐ死ぬのです
どんな方法をもってしても、直撃を防ぐことは出来ませんでした
オゾン層を突き破り、地球上のあらゆるもの全てを焼き尽くして、この蒼い惑星は跡形もなく無くなります
じきに、太陽から放たれる膨大な熱風と放射線が、ピンポイントで地球に直撃するでしょう
私達はもうすぐ死にます
もうすぐ私達は死にます
このかけがえのない惑星は、もうすぐ消滅します
*
その日から、私達の日常はどこかに消え失せた
都心では毎日のように、デモや暴動が激化した
嫌でも悲鳴と怒号が聞こえてくる
毎日通る道には幾つもの死体
壁には、大量の血糊が付いていた
為す術は、もうどこにも無かった
発狂する人がいた
自らの命を絶つ人がいた
残された時間を大切に使おう という人がいた
ごく普通に振る舞う人がいた
最後まで諦めない人がいた
あの日から、今までの行動は全て意味の無いものとなった
無かったことになった
そこにはもう、倫理も無ければ、道徳も必要なく、罪も悪も正義も、全てが関係なくなった
私達の日常は、もうどこにも無くなった
*
あれから月日が経った
テレビでは、いつものようにニュースが流されていた
内容は太陽について
毎回決まったセリフが、延々と続く
じきに、太陽から放たれる膨大な熱風と放射線が、ピンポイントで地球に直撃するでしょう
それがついに
明日、だ
…一体、今、私達に何が出来るのだろう
為す術はもうない
そのことを、私達は当に知っている
その上で、私達にはどんな選択肢が残されているというのだろう
『…悔いのない最後を』
メディアの放送者は、ニュースの終わりにそう言って、画面から姿を消した
私達はもう逃げられない
もう私達は逃げられない
ほんの僅か一瞬の時を経て、世界は終わりを迎えるのだ
氷帝
立海
青学
−例えば、今私達が生きているのは、紛れもない偶然