am

□年明け最初の…
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「……ん……」






モソリ…と気怠い身体を動かそうと僅かに腕に力を込める






キシ…とベッドのスプリングが微かに音をたてた







そっと

隣に眠る存在を確かめるように視界に入れれば

無意識に緩む頬






遅れて

昨日身体に刻まれた熱を思い出す






空気に晒された肌をシーツで覆って
水でも飲もうとゆるゆると起き上がった







…はずだった







「ぇっ……」







重力に逆らう感覚のあと

先程シーツにくるまった素肌に温かい感触







ポスンと軽い衝撃のあと
頭の上から声がした







『どこ行くんだ』







寝起きの
少し掠れたテノール







ふわりと頭に添えられた大きな掌







それだけ







ただそれだけ







なのに







こんなにも満たされる







「…由紀…あけましておめでとう。今年もよろしくね」







言いながら
スリ…と由紀の胸に頬を擦り寄せれば更に力強く引き寄せられた







「キャ…」







次いで

少しだけ乱暴に重ねられた唇







「ん…ゆき……」







『…いらねぇだろそんな挨拶』







「……え?」







どうして?という表情で見つめ返せば未だ眠そうな目を閉じて
枕に深く頭を沈めた由紀がそのままの体勢で口を開いた







『んな挨拶なんか俺たちにゃいちいちいらねぇだろ……』






そう言うと改めて私をぎゅっと抱きしめた











それは
私たちが一緒にいるのは言うまでもなく当たり前って……思っていいんだよね…?

















fin

2016/1/1

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