純情エゴイスト

□心と体
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□プロローグ




 白い…

 光り輝く程に ただ白い

 眩マバユい光はとても清くて
 汚れを知らない

 だからこそ堕ちれば最後ー

 染まれば二度と戻らない


 お願い… 私をあなたの色で

   染め上げて・・・



心と体は違う。

そう実感した瞬間だった。

君は…もし恋人より体の相性が好イい人に出会ったらどうする?

そして、その相性を嫌というほど体に叩き込まれたら。

心でどんなに恋人を求め、心が恋人で満たされても、躯の乾きは癒されない。

貪欲に快感だけを欲する。

そうなってしまえば、俺なら…恋人の傍にはいられないー。



 こうなる前に

 あなたに 染めて欲しかった

 あなただけに 堕とされたかった

 あなたにしか 手を伸ばしたくなかった



「いただきます。」

久しぶりの野分と食べる夕食。

いつもは、和ナゴやかな甘い雰囲気のはずが今日は重くピリピリしていた。

そんな中、口を開いたのは野分だった。

「ヒロさん…」

少し…いや、かなり怒の含んだ声で弘樹を呼ぶ。

「…なに。」

弘樹は野分の様子を見て、短くボソリと返した。

だが、内心では不安と悲しみでいっぱいだった。

(今まで練習した通りに…計画通りに…)

これで、今までの全てが終わるのだと思うと、鼻の奥がツンッとくる。

瞳が揺れるのを必死に我慢する。

(だって・・・これで野分が助かるのだから…。)


 
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