純情エゴイスト

□心と体
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弘樹が真貴の部屋へ行くと、そこには弘樹の部屋が用意されていた。

だが、そこにはベッドがあるのみ。

窓はあっても開け閉めは出来ないようになっていた。

弘樹が大学から持ってきた私物も別の部屋に移動された。

また、いつの間に用意されたのか、弘樹のスーツも別室に用意されていた。


弘樹は部屋の片づけの為に自室へも帰っていたが、ほとんどを真貴の部屋で過ごした。

真貴とのセックスはまるで麻薬のように依存性を生む。

2,3日開けるだけで、身体が疼いてくるのだ。

そして、それは自慰をしても治まるものではなかった。


野分は珍しくイライラしていた。

最近、仕事が落ち着き始め、家に帰れるようになったのだが、弘樹が家に帰って来ない日が多いのだ。

理由を聞こうにも、時間が合わず、寝ている弘樹をたたき起こす事は出来ない。

そして、運よく一緒にいる時、弘樹は野分の性交を本気で拒むのだ。

メールへの返事もない。

(もしかしてヒロさん、俺の事嫌いになったのかな。)

悲しみと怒りで平常心が保てない。

こんな事は今までなかったというのに。


そんな時大学から、海外の小児科の医療チームへの研修に選ばれてしまった。

本来現役の医者しか参加できないが、小児科の部長が推薦してくれたのだ。

ほぼ決定事項のようなものなのだが、野分は返事を出来ないでいた。

部長からは、今後の小児科医といての未来がかかっていると言われ、この研修に参加する事で、海外の外資系とのコネクションを持つことが出来るとも言われた。

それは、今後個人院を開きたいと考えた時など様々な場面に役立つからだと説明を受けたのだが、今の野分には距離が離れる事で弘樹との溝が広がりそうで怖かった。

このまま関係が終わってしまうのではないかと。


 
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