純情エゴイスト

□心と体
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「ヒロさん、ただいま帰りました。」

玄関を開け、ばたばたとこちらに向かってくる野分の声がする。

弘樹の心臓がドキドキと高鳴る。

やはり、野分に会いたいと思ってしまっているのだ。

緊張のドキドキよりも、嬉しさの方がこみ上げてくる。

扉を開けた野分は、弘樹を見つけるとすぐにその身体を抱きしめた。

弘樹は野分の身体がかすかに震えているのに気付いた。

(あぁ、こいつも怖いのかな。
俺が離れていくことが。)

弘樹は、別れ話を切り出す事なく、優しく野分を抱きしめた。


急にドクンと胸が熱く煮えたぎる。

頭がぼーとしてくる。

思考に靄モヤがかかったように、霞んでいく。

「のわき、だいて?」

胸に顔を埋め、そう呟く弘樹に野分は不安になる。

また何かあったのではないか、と。そんな野分の心配は弘樹があげた顔を見ると吹っ飛んでしまった。

赤く染まり、うるんだ目元。

吐息も熱く、まるで情事の最中のような色気を放っていた。

そして野分は、その顔に煽られた。

もう20代半ばも過ぎ、一緒にいる時間が少ないとはいえ、弘樹と暮らして5年以上経つ。

それでも、こんなに乱れた弘樹の顔を見る事は情事以外ではない。

野分は弘樹に噛みつくようなキスをする。

弘樹も積極的に舌を絡めてくる。

(からだがあつい。
むずむずして、苦しい。
のわき、はやく、どうにかして…)

普段よりも積極的な弘樹を訝しげに思うが、弘樹の行動がその思いを霧散させる。

腰を押し付け、高ぶったモノの存在を教えてくる。

「ヒロさん、もう・・・」

野分が弘樹のズボンをおろし、パンツの上から浮かび上がっているモノを撫でると、弘樹がビクビクと反応する。

それは、先端から溢れる蜜でパンツにシミができる程敏感になっていた。

(なんで、こんな。
触られただけなのに。
もっと、ほしい・・・)
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