純情エゴイスト

□心と体
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□第一章




 染まった色が

 赤なら温かさを
 青なら悲しみを
 緑なら癒しを

 染められた色が

 黒なら…絶望を あじわう

 でも…あなたが染めてくれたのなら

 それは・・・



どこで間違ったのかなんて分からない。

もし、あの時…っ何度悔いたかも分からない。

ただ…ただ、野分に申し訳なかった。



〜♪ ピッ

「あ、ヒロさんですか?」

「おぅ。」

「俺、今日も帰れそうにないです。すみません。」

「なんで謝るんだよ。」

「すみません。」

「まったく。俺は大丈夫だから、しっかり仕事してこい。」

「はい…。」

「野分。」

「はい。」

「もう、冬も近くて寒い。」

「?はい。」

「でも暖房を入れる程でもなくて、だな…だから、その…お、お前の体は温かくて、ちょうどいいから・・・、帰ってきたら抱きしめろっ!!」

「はい!!ヒロさんっ」

「な、なんだ?」

「大好きです!!!」

「ばかっ…もういいから行ってこい。」

「はい、行ってきます。」

「おぅ、頑張ってこい。」

「はい、ヒロさん。」

ピッ


これが野分との最後の電話。

順調に進んでいた俺と野分の生活は…恋は…この日から壊れ始めたのだった。



十一月に入り、毎年の事ながら流行りだしたインフルエンザに野分は大忙しだった。

それでも時間を見つけては電話やメールをくれた。

だが、海外で流行っていた新型のインフルエンザが十一月の中旬になって日本でも流行りだした。

病院は拍車をかけたように患者が押し寄せ、野分は診察に追われている。

そして連絡もプッツリと途絶えてしまった。

ニュースでいろいろ忙しいのは分かったから、連絡がなくても仕方ないと思った。

でも、強気でいれたのは最初だけだった。

十二月に入り、野分の声も聞かず連絡も取らないで二週間…野分と会わないで一ヶ月が経った。

いつも通りに家に帰ると、部屋がとても広く感じた。

それに静まり返っている。

今まで気付かないフリをしていただけかもしれない。

でも、その日弘樹は気付いてしまった。

この部屋には一人しかいない。

野分が仕事なのは十分承知しているが、それでもこの部屋は弘樹には広すぎるのだ。

その日から弘樹はなんとなく食欲が沸かず、また睡眠も浅くなっていった。


 
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