BLACK 銀魂

□BLACK 銀魂 9話
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「中谷宏行です」


 ドア越しに声を掛けると直ぐに入れ。と
男の声が聞こえた。


「失礼します」


 中に入ると、新しく第七師団に派遣された副団長、カズヒロが椅子に座ったまま、宏行を観察するように見ていた。


「団長から、話は聞いたな?」

「はい、地球にいる春雨の新しい幹部を迎えに行くと」


 宏行の言葉にカズヒロはフンと鼻を鳴らし、不機嫌な顔をした。


「元は我々天人を排除しようとしていた、攘夷志士だった男だ、それが春雨の幹部など」


 カズヒロの苦々しい口調から、どうやらその高杉という新しい幹部のことを、カズヒロは気に入らないと言うことは分かった。


 地球人が自分と同列か、或いは、それ以上の地位である幹部に突然昇格するというのが気に入らないのだろう。


「そんなことはどうでも良い。実は今回の任務だが、その地球人を連れてくる以外にもう一つ、別の任務もあるんだよ」

「別の任務、ですか?」

「最近、江戸の街で奇妙な噂が飛び交っているそうだ。 なんでも、地球でも宇宙でも無い場所から現れた人間がいると言う噂だ」


 そう言いながら笑う、カズヒロに宏行は動揺したが、それは隠しておいた。


「お前は聞いたことがあるか?」

「いえ、春雨に来て以来、地球には戻っていませんので」

「そうか。とにかく、その男を捉え調べればその謎の場所が特定できるかもしれん。そうなれば色々と役立つ。今回はその任務も兼任して行う。こちらで調べは付いている、この男だ」


 そう言って、カズヒロは書類を一枚、宏行の前に差し出した。


 それを受け取った宏行は映っている写真を眺め、腕を止めた。


「どうかしたか?」

「いえ、見た感じ、普通の男だな。と思いまして」

「そうか。 とにかく、向こうに着き次第、お前にもその任務について貰うことになる。 準備を怠るなよ」

「了解しました」


 頭を下げて、その瞬間。宏行はその種類に写る写真を見た。


 見間違うはずもない、そこに映っていたのは、共にこの星に来た友人、こうきが映っていた。
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