BLACK 銀魂

□BLACK 銀魂 2話
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「こんにちはー」


 屯所の戸を開ける。


 緊張しているせいか、声が小さく何の反応はない。

 思わず屯所の門をくぐり、中に入ってみる。


「どうかしました?」


 ミントンを持った地味な山崎が出てきた。


「沖田総悟さん、いらっしゃいますか?」

「隊長に何か」

「お金を借りてまして」

「隊長がお金を貸したんですか?何かの間違いでは……あの人がそんな人情的なっっ!!」

「何か言ったか、山崎」


 山崎の後ろには、総悟が刀を背中に向けて立っていた。

「イヤ、なにも言ってませんよぉぉぉ! そんな事よりお客さんですよぉぉっ!!」


刀をしまい、こうきの顔を見て無表情で言った。


「誰ですかィ?」

「昨日、食堂で財布を忘れたところを助けてもらったんですけど…」

「あー」


 特に気にしていなかったのか、棒読みの返答をする総悟に封筒を渡す。 封筒の中には昨日の食事代。


「あっ、あのー、もしかして江戸は初めてですか?」

透かさず、山崎が入ってくる。


「はい」

「なんでィ、いきなり」

「先週、あまり見たことのない格好をした二人組を見たと情報が入ったんです。 その目撃情報の外見とピッタリなんです。少し中でお話しを聞かせて下さい」

「はい」

 新八から警察と聞かされているため断れなかった。

 こうきは部屋へ通され一人で待つ。


「ありえねぇだろィ」

「俺も違うと思いますけど。情報だと急に現れて、二人から一人になったとか。……攘夷浪士……一応、仕事ですから」


 二人はこうきの待つ部屋に入る。 すでに中には近藤がいて笑顔で会話していた。


「お〜、二人共きたか」


ここの世界の人間ではないこと、前にいた世界のことは覚えていないこと、中谷との別れ万事屋で住んでいること。 一週間のできごとを話した。


 総悟と山崎が座ると、近藤は目で合図をした。


“大丈夫だ”と。


「働く所が見つからないなら、ウチでちょっと手伝わないか?倉庫整理を一ヶ月」

「いいんですか?」

「あぁ、いいとも。万事屋の所で居候って言っても、お金がないと、こうき君もかたみが狭いだろう。分からないことがあったら何でも聞いてくれ。早速明日から大丈夫かな?」

「はい、お願いします」



 それから


 屯所の入り口で総悟と二人。


「明日、待ってまさァ」

「はい、失礼します」


 歩きだす、こうき。

 別の方向から見廻りを終えた土方が煙草を吸いながらやってきた。


「見ねぇ、顔だな」

「土方さんには関係ありやせん」


 そう言うと、屯所の中に戻る総悟。


(なんだァ、あいつ)


 素っ気ない総悟に慣れたように一言、心で返し、こうきの後ろ姿をもう一度見ると、土方も屯所の中に入って行った。
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