BLACK 銀魂
□BLACK 銀魂 18話
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何かがこちらに向って飛んできている。
「何!?」
カズヒロもそれに気づいたのだろう。自分に飛んできているそれを。煙を吐き出しながら飛んでくるそれ、その先にいたのは、何度か見たことがある。バズーカを構えている総悟の姿。
隣にいる土方と近藤が慌てたように総悟に詰め寄っているが、総悟は真っ直ぐにこうきを見ていた。
カズヒロが飛んできたバズーカの弾を避けるために動いたその隙を、こうきは見逃さなかった。洞爺湖柄を真っ直ぐ、カズヒロのみぞおちに叩き込んだのだ。
「グハッ!」
息を全て吐き出し、目を剥きだした、カズヒロはそのまま後ろに倒れていく。
直後その場にバズーカの弾が辺り、その場で爆発した。
ギリギリのタイミングでそれを躱したこうきは倒れているカズヒロを見下ろした。
完全に気を失っているようだった。
それを確認してからこうきはバズーカを撃った総悟に目を向けた。
「総悟ォ〜っ! おまっ、ダメって言っただろうが!」
慌てたような近藤の声。
「あ、土方さんを狙ったつもりでしたが間違えやした」
白々しく、ふてぶてしく言う総悟、バズーカを肩に担いだまま、飄々とした口調で言った。
「テメッ! なんでこのタイミングで! つーか普通に命狙うとか言うかオイ! せめて隠せや」
「後ろ姿が鬱陶しかったもんでつい」
「つい、じゃねェよ!」
いつものやりとりをしている真選組に目を向けているとこうきは突然自分の横に、何かが現れるのを感じた。バズーカが舞い上げた砂煙が舞う中現れたそれ、カズヒロではない。カズヒロは未だ気絶しているままだ。
「口ほどにもないなぁ、あれで俺を殺そうとしてたって言うんだから、驚きだよね」
軽い口調と笑顔に隠された、濃密な血と死の匂いを纏い、男はこうきの直ぐ横に立っていた。
「なっ!」
ここまで接近していたことに気づかなかったこうきが慌てて距離を置こうと地面を蹴るがそれよりも早くその男はこうきに向けて拳を奮った。
ケラケラと笑ったまま、振られた拳。絶対的な殺気も無く、必殺の一撃でも無い只の一撃で、こうきの身体はいとも簡単に吹き飛ばされた。
「グッ!」
しっかりガードしていたはずなのにそれを無視して身体にダメージが加わる。
「さあ。第二幕と行こうか」
吹き飛ばされたこうきの前に男は再び移動した。
身体能力や、身体の構造からしてこうき達とは違う戦うために生まれた種族。
夜兎族最強を誇る男、神威がこうきの前で不敵な笑みを浮かべて笑っていた。