BLACK 銀魂
□BLACK 銀魂 18話
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いつも通り、仕事もなく、やることもない万事屋の中で、銀さんこと坂田銀時は万事屋の中心に置かれた、自分の椅子に身体を預けながら小学生がするように椅子を斜めにしてバランスを取っていた。
「もう、半年になりますね」
「あー? 何だよ新八」
こちらもやることなく項垂れている従業員の一人、新八の言葉に銀時は反応し、目だけ動かして新八に向けた。
「こうきさんですよ。決まってるじゃないですか。神楽ちゃんもこうきさんもいなくなって、こうなるとやっぱり寂しいですよね」
「別にー。俺はもともと万事屋一人でやってたし? 今更小娘や小僧がいなくなってもどってことねーよ。ついでに新八。おめーがいなくなっても問題ねーな」
特に表情もなく言う銀時にしかし、新八は気づいていた。この男が口では素っ気ないことを言いつつも、神楽が自分の星に帰った時も、こうきが修行に出た時も、本当は寂しがっていたことに。
「またまたそんなこと言ってー。神楽ちゃんはともかく、こうきさんならその内帰ってきますよ。強くなって」
本当は十年以上道場で剣術を学んでいた自分よりも、こうきが強くなっているのか、新八はそれに少し途惑っていたが帰ってきて欲しいのは事実である。
そんな新八の心中を知ってか知らずか、銀時はまたも憎まれ口を叩く。
「どうだか。元々どっから来たかもわかんねーような奴だからな。もう自分の国に帰っちまったんじゃねーの? 銀さんは一向に構いませんけどねー」
「はぁ。どうして銀さんはそう捻くれてるんですか。やっぱりその頭のせいですか?」
「おい新八ー、おめーはあれか? 天然パーマの奴はみんなひねてるって言いたいんですか? ならおめーはあれ? 眼鏡の奴はみんなツッコミしか能がない影のうっすいお宅にでもなるんですか。コノヤロー!」
「誰がツッコミしか能がない影のうっすいアイドルオタクですか!」
いつも通り騒ぎ続ける万事屋はけれど、椅子が一つ空いているせいでどこか空しい雰囲気が漂っていた。