BLACK 銀魂
□BLACK 銀魂 17話
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新八side
こうきさんが、一枚の手紙を残して万事屋から出ていってから10日がたった。
銀さんは、気にしていないような振りをしているが、やっぱり元気がない。
神楽ちゃんが定晴と一緒に、お父さん(海坊主)の所に帰った時と同じ様子。
僕もすごく寂しい。急にいなくなって、今だに連絡がない。こうきさんが働いていた、雑貨屋さんに行ったらもう辞めたって言われた。 こうきさんが、今どこにいるのかも分からない…。
銀さんが、辻斬りから左腕を軽く斬られて、こうきさんは責任を感じ、修行に行くと出ていった。
銀さんも、きっと自分を責めていると思う。
〜10日前〜
それは、突然だった。
僕と銀さんは、仕事を終えて万事屋に帰ってきた。
辻斬りの事件から、こうきさんは部屋から出てこない。
銀さんが薄暗い事務所の電気をつける。
糖分と書いてある掛け軸の右側にこうきさんの部屋がある。
ここの部屋は一階に住んでいるお登勢さんが、物を置きたいから小さい部屋が欲しいとリフォームした時に、どうせなら二階にも小部屋を作ろうと言う話になり、4帖の部屋が作られた。
その部屋ができたものの、銀さんは特に使うことなかった。そんなときちょうど良くこうきさんが万事屋に来た。そこをこうきさんが使うようになった。
こうきさんの部屋の襖が開いている。
(あれ? こうきさんいないのかな…)
銀さんは、机の前に行くと止まったまま動かない。
銀さんの様子が、おかしい。
「銀さん?」
「……………」
返答がない。
もう一度、銀さんの名前を呼び隣まで行く。
銀さんは、白い紙を持ったまま遠い目をしている。
「あの…銀さん?」
「……こうきが出ていった」
「えっ!?」
銀さんは、呟くように言うとこうきさんの部屋の前に行き、中を見る。
僕は驚きのあまり、返す言葉も出でこなかった。
元々、こうきさんの荷物はほとんどなく、中はあまり変わっていなかった。
だけど、暗い部屋。
こうきさんの物は一つも残っていない。
こうきさんが出ていったと言う事実で、部屋がとても寂しい。
そのあと、銀さんは無言で万事屋から出ていった。
さっき、銀さんが見ていた紙が机の上に置いてある。
それは、こうきさんからの置き手紙だった。
銀さん 新八君へ
強くなるために修行にいってきます。
たくさんお世話になったのに勝手、言ってごめんなさい。
本当にごめんなさい。
古城 こうき
(こうきさん……)
〜今日〜
この10日間、仕事の依頼が何件かきたが、全て断っていた。
僕と銀さんの会話も少ない。
神楽ちゃんの時は、きちんとお別れができた。
こうきさんの場合はなんの前触れもなく、万事屋から出ていってしまった。
やっと、少しずつ、こうきさんとの距離が縮まってきていたのに。
こうきさんがいないだけで、万事屋の空気が変わった。 こんなに寂しいなんて…。
だけど、こなまま落ち込んで訳にはいかない。僕はこうきさんが帰って来ることを信じて待つって決めた。