BLACK 銀魂

□BLACK 銀魂 16話
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 時期は3月の末。



 江戸も少しずつ暖かくなってきた。 寒い冬が終わり、もうすぐ春になる。 江戸の人々は、みな春がくるのを待っていた。



 しかし、最近、歌舞伎町で辻斬りが出るとニュースで、大々的に報道されていた。


 ニュースによると、辻斬りは夜に現れ、この二週間で一般市民が6人も犠牲になった。


 夜の7時を過ぎると、朝まで歌舞伎は静まり返る。 無理もない。辻斬りは子供、大人関係なく殺害している。 みな犯人が捕まるまでは安心はできない。



 今日はこうきのアルバイト先の雑貨屋の棚卸しのため、夜の8時に終わるらしい。


 銀時は新八を家に送り、こうきのアルバイト先に向かっていた。




 静かな町。


 今夜は、赤くて不気味な満月が江戸の空に出ていた。


 辺りを、目で見渡すが一人も歩いていない。



 「ちょっと、お兄さん。 辻斬りがでるから危険だよ。ニュース見てないの?」


 一台のパトカーが銀時の横で止まると、窓を開けて警察が話し掛けてきた。



 「あぁー!? んなこた、知ってんだよっ」



「じゃ、なんでこんな時間に歩いてるんだね、君は」


「知り合いを迎えに行く途中なんだよ」



「あ、そう。気をつけるんだよ」


 心の込もっていない警察の言葉に銀時は、舌打ちをしてまた歩きだすと、こうきのアルバイト先の雑貨屋が見えてきた。


 こうきは、うまく仕事はできてるのか!?っと、ふと考えていると、ちょうどよく店の入り口からこうきが出てくる。




「っ銀さん!」


「おー、今終わったのか?」


「はい。銀さん、待ってました?」


「ちょうど今、着いたとこ」


「今日はありがとうございます。迎えに来てもらって…」


「気にすんな。棚卸しは今日だけなんだろ? こう言うのも、たまにはいいじゃねーか」



 いつも、こうきのアルバイトは夕方には終わるが、今日は棚卸しで帰りは遅い。辻斬りの事件のため朝に銀時が迎えに行くと話をしていた。


 いつも一人の帰り道、今日は銀時がいる。事件のことを考えれば複雑な気持ちだが、こうきは嬉しくもあった。



 二人は、静かな町を万事屋に向かって歩き出す。


 少し歩いて、広めの道路がある場所で銀時は静かに足を止める。



 「こうきっ。ここで待ってろ。動くなよ」



 落ち着いた声で、銀時が上を見上げながら言う。


 まさかと思い、こうきは銀時の視線の先を見ると、そこには赤い満月をバックに民家の屋根の上に一人立っていた。目は瞳孔を全快でやや口角を上げ、こっちを見ている。


 逆光で見えにくいが、銀時とこうきは辻斬りだと分かった。


 凍りつくこうき。


 緊張と不安で鼓動が速くなる。



「こうき、動くなよ」


 銀時は、もう一度こうきに声を掛けた。



 「はい」


 唾をのみ小さな声で答えるこうき。
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