BLACK 銀魂
□BLACK 銀魂 14話
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雑貨屋でのアルバイトを終えて、万事屋に帰ろうとした帰り道、こうきは町の様子が少し、おかしいことに気がついた。
普段はあまり見かけない人達。簡単に言えば貴族階級や天人などが町中にいたのだった。
そんな様子に気がつきながら、けれどだからと言って何故そんなことになっているのか、それは分からなかった。
夕暮れ時の町中はそれによって騒がしさを失わず、むしろいつもよりも騒がしく感じる程だ。
「なにか、あったのかな?」
ぽつりと、一人呟いてみる。
それに応えた訳ではないだろうが、町の中にいた、数少ない庶民らしき人たちの会話が聞こえてきた。
「この騒ぎ、またどっかの天人でも来てんのかい?」
「いや、違うらしい。どうやら地球人。それも大名家に使えてた大物豪族の息子がホームパーティ開いてるんだとよ。天人たちも気を遣う程の大物だってよ」
「通りで、まあそれなら俺たちには一生縁のない話だな」
違いねえ。と続けて町民は大声を出して笑って見せた。
確かに自分たちのような、庶民には関係ないか。とようやくこの町の異変の理由を知って、胸のつかえが取れたような気持ちになりながら、こうきは家路に戻る。
町中を抜けても貴族達の姿は減らない、むしろ増えて来ている。こちらで開催しているのかも知れない。
天人が地球人に対し、冷たく接すると言うことは聞いていたので、出来る限り邪魔にならないように、端に移動し避けながら歩いていた。
そんな中、一台の車がこうきの後ろからスピードを上げながら、走ってきた。
その車の存在に気がつき、こうきは慌てて道の端に避ける。
そのスピードを保ったままこうきの横を通り過ぎた車はやがて、前方二十メートルほど進んだところで停止した。
低いエンジン音を奏でる車は、誰かを待つように、止まっている。
ちゃんと避けたはずだが、周りにいる天人たちはこうきのことを振り返り見ている。
そんな視線の中、こうきはゆっくりと前に進む。
五メートル、十メートル、十五メートル。そして、車の横に着いた瞬間、車の後部座席の窓ガラスが下がり中にいた、一人の男がこうきに目を向けた。
天人では無いように見える。
細身の優男。顔立ちは整っているが、あまり好感のもてるタイプでは無い。
「君、地球人?」
上から目線で、高圧的なイメージを持たせる声。その声にこうきは僅か、誰にも分からない程度に顔をゆがめて、頷いた。