BLACK 銀魂

□BLACK 銀魂 11話
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 朝、こうきはいつもよりも、早く目を覚ました。


 十二月にしては割と良い天気で、思い切り伸びをしてから、布団を抜け出すと、それを押し入れにしまってから、居間へと向う。


「あれ? こうきさん早いですね」

「新八くん。うん、何となくね」


 丁度新八が家から来たところだったらしい。


 居間には銀時の姿はまだ無い。


「そう言えば、真選組でのアルバイト。今日で終わりなんですよね」

「うん」

 言葉少なに頷く。


 そう。真選組でのアルバイトは今日で最後となる。


 朝いつもよりは役目を覚ましたのは、そう言う理由なのかも知れない。


「今日で、最後か」


 自分に言い聞かせるように、言った言葉は新八には聞こえなかったらしい。


 新八は台所に出向き、朝食の支度を始めていた。



「それじゃ、そろそろ行きますね」


 その後、銀時も起き出して、三人で朝食を取った後、こうきは真選組に最後のアルバイトに行こうと立ち上がる。


「おう。ゴリラからがっつりバイト代、もらってこいよ」


「……はい」


 控え目なこうき。



 そして、玄関へと向うこうき。


 いつも通り、玄関から外に出ようと戸を開いた瞬間、玄関に冬の空気が入り込んできた。


 天気は良いものの冬の空気は相変わらず寒い。


 軽く身震いをして、肩を竦めてからこうきは自分が、マフラーをしていないことに気がついた。


「あ。忘れてた」


 そそくさと玄関を閉めて、自室へと戻り、マフラーを手にしてから、歩きながらそれを首に巻く。


「ああ。マフラーですか。外は寒いですもんね」


 居間を通った時、新八が言うが、銀時はどことなく気恥ずかしそうに、頭を掻きながらこうきから顔を逸らしていた。


「うん。これ暖かいから」

 本当はそのマフラーはさほど高い物ではないらしく、暖房効果は最低限の物でしかなかったのだが、銀時から貰ったという事実からか、それはとても暖かく感じられていたのだ。


「それじゃ。改めていってきます」

「はい。それじゃ、皆さんによろしく」

「気ィつけてな」


 二人の見送りを受けて、こうきは万事屋を後にした。


 マフラーを巻いても、外はまだ寒かったが、こうきは自分の吐く息の白さを眺めながら、踏みしめるように、真選組屯所へと道のりを歩き始めた。
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