BLACK 銀魂
□BLACK 銀魂 6話
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総悟と友達になって翌日。 この日は真選組のバイトは休みの為、こうきは朝から掃除をしている。
黒で無地のセットアップジャージを着ながら、テーブルや机を拭いている。
そのジャージ姿は、こうきの体のラインが綺麗に見える。
今日も万事屋の仕事は入っていない。 銀時は、自分の部屋で気持ち良さそうに寝息をたてている。
それを、知ってかこうきは静かに掃除をしている。
ここに初めて来た時、こうきは銀時から部屋を一つもらった。 4畳程の広さで部屋に入ると、正面には小さい窓が一つあり、部屋の隅には、くたびれた小さなタンス。もともと、物置き場として設計されていて小さな部屋だが、こうきにとっては凄くありがいものだった。
静かな万事屋。
一通り、掃除を終わらせ台所で朝食の準備をしようと冷蔵庫を開ける。
「………」
冷蔵庫には、調味料といちご牛乳だけしか入っていなかった。
こうきは、ふと数日前の事を思い出した。
〜数日前〜
「こうきさんが、次のお休みのとき僕、お通ちゃんのライブがあるので、銀さんに1日休みをもらったんです!」
夕方、真選組のバイトを終わらせて台所で夜ご飯の用意をしている新八を手伝っている。
「なので、この茶封筒の中に食費代が入っているので、何か作って下さいね。…こうきさん……もし、不安なら僕、お通ちゃんのライ」
「大丈夫だよっ、楽しんできて」
新八が何を言おうとしているのか、悟ったこうきは話し終わる前に優しく言った。
こうきにとって、新八は年下ではあるが、優しく頼れる弟の様な存在になっているに違いない。 この世界に来てから、一番、世話になっているかもしれない。 銀時や総悟にも優しさはたくさん貰っているが、不器用な為に新八がカバーする事も多々あるのだ。
「ありがとうございますっ!!僕、お通ちゃんのライブが楽しみで楽しみで」
幸せそうな新八。 こうきは、頬を緩めながら気遣いに感謝と共に、嬉しそう新八を見ると自分まで嬉しくなる。
ちょうど、その日(休み)の食事を作る担当はこうきだった為、特に問題はなかった。
こうきは部屋に戻ると外行きの服に着替えた。
この世界にきてから、まだ服なんて一度も買った事がなかった。
幸いなことに、こっちに来てから親友の中谷と別れ、一人、こうきは財布の中を確認するとお金が数万円入っていた。同じ硬貨でここでも使えるらしい。
制服姿に大きなショルダーバッグには下着やら服が入ってる為、うまく着回ししている。どこか旅行にでも行こうとしていたのか…。
その記憶も、今だ思い出せない。
買い物に出ようと玄関で靴を履いた時だった。