BLACK 銀魂

□BLACK 銀魂 9話
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 宇宙海賊、春雨。 第七師団の一室で、中谷宏行は突然団長に呼ばれ、部屋の中にいた。


「何でしょうか?」

「えーっと、中谷、宏行ね。地球から来たのはお前だよね?」


 ニコニコと笑ってはいるものの、そこに隙は一切無く、もし仮に宏行が欠片でも敵意を見せればその場で殺されそうだ。


「そうです」

「ん。それでさ、うちの新しく来た副団長、 名前なんて言ったっけ。アイツ」

「カズヒロ……様ですか?」


 様、と付けているものの、宏行の口調からは一切尊敬や、畏敬の念は感じられない。


「あー、そうそう。そんな感じだった。 で、そいつが例の新しく春雨の幹部になることになった高杉。 あの地球人を迎えに行くことになってさ。 なんでか地球の奴が必要なんだって。お前ついて行ってよ」

「……はい、分かりました」


 地球。と聞いて宏行は一瞬動揺しかけたが、それを隠し、頷いた。


「久し振りの地球だろ? ゆっくりしてきて良いよ。顔見知りも、いるんだろう?」


 顔見知り、と聞いて動揺した宏行。 見透かしたように、神威は笑って見せた。


「はい、ありがとうございます」


 頭を下げる。


「カズヒロの所に行っておいて」


 と言う神威の言葉を受けて、その場から離れていく宏行。


 その表情は少し硬い。


 外に出た宏行は、廊下沿いの窓から宇宙を眺めた。

 地球は見えず、何処までの暗い闇が広がっているだけ。


「地球か」

 春雨に来て以来、一度も地球には帰っていない。


 それほど思い入れがあるという訳ではないが、それでも多少なりと考えることはある。


 こうきはまだ江戸で働いて生きているのだろうか。


 共に、ここに現れた昔の友人の顔を思い出しながら、宏行は副団長のカズヒロの元に歩き出した。
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