BLACK 銀魂

□BLACK 銀魂 17話
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 こうきが出ていってから10日後の銀時。



 夜の11時が過ぎた頃。場所は、スナックお登勢。




 店の中では、キャサリンとたまが奥のテーブル席で、客と楽しそうに話している。



 お登勢は、一人カウンターにいた。 ちょうど仕事が一段落したところだ。 今日は常連客が数人いるだけで店の中は静かである。


 すると、店のドアが開き銀時が無表情で入って来る。



 「あら、久しぶりじゃないか。家賃でも持ってきたのかい?」


 何も言わず、カウンターに座り酒を頼む。



 「いつもの頼む」


 「お金はあるんだろうね」


 「酒、飲むくれーの金はあるさ」



 お登勢は、銀時に酒を注ぐ。


 銀時は注がれた酒を一気に飲み干すと、今度は自分で酒を注ぐ。二杯目も一口で飲んだ。



 遠い目の銀時。



 「なんだい? シケタつらして」



 「何でもねーよ」



 いつもの、冗談の一つも返ってこない。



 「新八から、話しは聞いたよ。 あの子、出ていったらしいじゃないか」



 煙草に火をつけながら話すお登勢。



 「あー、置き手紙、置いて出ていっちまった」



「帰ってくるのかい?」



「…さぁな」



 遠い目をしながら呟く様に銀時が答えた。



「男くせに、何メソメソしてんだい」



 もちろん、銀時は涙を流している訳ではない。 ただ、元気がない。



 「あの子、気に入ってだけどね。 初めて、ここにアンタ達が連れてきた時は、正直、驚いたけどね。 また、アンタが荷物を背負い込むとはね」



 煙草を吸いながら、お登勢はゆっくりと話を続ける。



 「何回か手伝いにも来てくれてね…。掃除したり、買い物に行ってくれたよ、あの子。 お礼の代わりに釣り銭で好きなの買ってきなって言ったんだよ。 帰ってくるなり、アンタは何を買ったんだい?って、聞くと、チョコレートと駄菓子だってさ。 好きなのかい?って、聞くと。銀さんと新八君のですって。 それも、嬉しそうに言うんだよ。……いい子じゃないかい。きっと、強くなって帰ってくるさね」



 お登勢もこうきの事を可愛がっていた。



「今日は、私の奢りだよ。飲みな」



 そう言うと、お登勢も一杯、酒を口にした。


「あっ、そう言えば銀時。こうきって、私の若い頃に似てやしないかい?」


「黙れ、ババア。月とすっぽんくれーちげーよ」


 銀時は、明日から気持ちを切り替えてこうきが帰ってくる事を待つと決めたのだった。



(あいつの可愛さは、尋常じゃねーんだよ)
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