BLACK 銀魂
□BLACK 銀魂 8話
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適当に辺りを周り、することもなくなったこうきは万事屋に戻って家の掃除をしていた。
新八やこうきが、こまめに掃除をしている筈だが、今日は少し散らかっていた。
以外と物が多いせいだろう。
静かな部屋の片付けを続けながら、こうきは何となく、物足りないようなそんな気持ちになる自分を見つけていた。
拭き掃除を続けていながらも、どこか、何かが足りない気持ちになる。
そのまま、掃除をしながら、いつもみんなが集まって話をする万事屋の客間を兼ねている部屋の掃除に取りかかった時、こうきはその物足りなさの原因に気がついた。
糖分と言う文字の書かれた額縁の下に、いつもは座っているはずの人物がいない。
自分が、よく座るソファー。 向かい側のソファに座っている人物もいない。
思えば、この地に来てから、二人が泊まりがけで仕事に出ていたことなど無かった。
もっと言えば一人でこんなに長い時間を過ごしたこともなかったのだ。
「うん。なんて言うんだろう。こういう感じ」
主の無い椅子を眺めながら、こうきは掃除の手を止めていた。
その時、そんなこうきの様子を見計らっていたかのように、突然、家の電話が鳴り響いた。
「っと!」
驚きの声を上げながら、こうきは電話の側に行き、レトロな黒電話の受話器を外した。
「もしもし。万事屋です」
仕事の依頼だったらどうすれば良いんだろう。 そう思いながら、受話器の向こう側に声を掛ける。