BLACK 銀魂
□BLACK 銀魂 5話
3ページ/5ページ
山崎を戻し、一人になって見回りを続けていた総悟は家と家の間の道を歩いているさなか、突然後ろから声を掛けられた。
「あ、あの! 真選組の方ですか?」
女の声に振り返ると、安っぽい和服と、真っ黒で野暮ったい髪の毛を持つ如何にもと言った風な町娘が立っていた。
先程の話もあり、総悟は取りあえず気を抜かないようにしながら答える。
「そうだけど、何かありやしたか?」
「あの、あっちの方で喧嘩って言うか何か人を殴っている人がいて、それで」
指さした方向にはずっと小道が続き、その奥で曲り角から誰かの脚だけが伸びていた。
「なんか、殴ってたのが女の人みたいだったから。変だなとは思ったんですけど」
「女?」
女と聞いて思い浮かんだの当然、山崎の話。
総悟は女の横を通り、小道を進み始める。
その瞬間、総悟の鼻先に何かの匂いを捉えた。けれどそれに気を取られることなく、総悟は道を進み、脚だけが伸びているその曲がり角を曲がった。
そこには伸びている男が一人、服すらもはぎ取られ、ふんどし一枚の姿をさらしていた。
「コイツぁ。いよいよ例の事件か」
「例の?」
着いてきたらしい町娘の声が背後から聞こえる。振り返りはせずに取りあえず総悟は倒れている男の脈を確認する。まだ息はあるようだ。
「追い剥ぎでさぁ。とにかく今他の隊士を呼びますから、アンタにもちょいと話を聞かせて貰う……」
そこまで答えた所で総悟は突然刀を抜き、それを見もせずに自分の頭の後ろに移動させた。
次の瞬間。刀に重みが加わり、同時に金属音が響き渡った。