WIND
□No.8 出会い
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ザアアァァァ一一一一…
昨夜ほどの雨ではない。
だが、すぐに体力が奪われてしまう程の雨が、二人の少女一ダリアとラビンを襲っていた。
あれから二人はどれくらい歩いただろうか…
太陽など見えるわけがなく、月の姿さえも雲のせいで伺えなかった。
そのため辺りは暗く、足場も悪く、二人は体力の限界を迎える頃だった。
PM.9:18
「…う〜…も、だめ…ι」
今、二人はゆっくりと丘を登っている。
ラビンはフラフラになりながらも、ダリアが持っていた海軍服を持つのを手伝う。
それを抱き締め、耐え切れぬ寒さを凌いでいた。
ダリアはというと、あの空軍女性を担ぎながらも、ラビンのずっと前を登っている。
『もうそろそろ、見えても良いはずなんだが………』
多少の不安があるものの、とにかく足を進める。
丘の上ならもしもバレルがなくても何か見えるだろうから。
そして、ようやく頂上に辿り着き、辺りを見渡せば…
『…あった。…ラビン!…バレルを見つけた。もう少しだ。』
喜びを伝えようと振り向き下を見るが、ラビンの歩く姿はない。
目を凝らし、よく見れば、力なく倒れているラビンがいた。
ダリアは目を見開き、背負っていた息のない空軍女性を降ろし、すぐさまラビンに駆け寄った。
『ラビン!?…ラビン…大丈夫?』
俯せていた体を仰向けにすると、ラビンは辛そうな顔をしていた。
戦う女とはいえど、大雨の中、長距離を歩くのは酷。
ダリアでさえも少し顔に辛さが出ている。
『ラビン?』
「……ハァ…ダリア……も〜だめ…。寒いし…足痛いし…疲れたよ…。」
『…大丈夫。もう心配ないから。これを登ればバレルがすぐそこにある。』
「ホント?」
『うん。肩貸すから、ゆっくり登ろ…。』
そうダリアが優しく言うと、ラビンは安心の笑みをこぼし、ゆっくり立ち上がった。
登りきるのには3分も掛かったが、大きな街の光を見て、二人は喜びあった。
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