MURDERER

□No.27 戦う決意
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無限に広がる青い空を、小さな枠におさめ、流れゆく雲を見つめる。


列車が出発してから2時間
 
 
ようやく大陸が、枠の中に入ってきた。
 
 
 
 
「うあ〜!見てみろよダリア!陸が見えたぜ!」

『やっと、だね。』

「大陸中部までホント、何話かかってるんだよ…ι」

「27話か…、さすがに長いな。」

「いや、あの…もうちょっと純粋に見ません?ι」

「ハッ、僕らに純粋さを求めるのかい?もうそういうのは南部に捨ててきたんだよ。使い捨てなんだよ。」

「使い捨てってなにッ!?つ〜か、えっ!?純粋さは使い捨てだったのか!?」

「ラウル、馬鹿に変なこと教えるな。」

「何言ってるんだい、スティング。本当のことなんだからいいじゃないか。」

「ならいいが…。そうか…、使い捨てだったのか…」

「は〜い、先生〜。ここにもう一人バカがいま〜す。」

『使い捨てか…』

「もう一人いたァッ!?」
 
 
 
 
ばか騒ぎをしている間にも、列車は大陸に上陸し、ようやく地の上を走りだした。

心地よい風が窓から入り込み、ダリアの髪を揺らす。

窓の外は美しい緑が輝き、のどかそうな村も見えた。

そしてその村から少し離れた場所に、大きな飛空艇がとまっていた。
 
 
 
 
「うわっ、でかー…」

『空賊、だよね。』

「オイ、ラウル。あれ…」

「みたいだね。ちょうどあの村で停まるみたいだし、挨拶にでも行く?」

「えっ!?知り合い…なのか?」

「俺が、昔空賊だったころに世話になった奴らだ。」
 
 
 
 
あの大きな飛空艇が、スティングの居た場所。

やはり只者ではないスティングに、ダリアとジンもさすがに驚いているようだ。

しかし空賊殺しでもあるジンは、あまりいい顔はしなかった。

それをラウルが見逃すはずはない。
 
 
 
 
「停車時間は確か30分くらいだったから…、僕らもすぐ戻るけど、二人で少しブラブラしたら?」

「そ〜だな。いくか?」

『ん、そうだね。30分も座って待つのは嫌だし。』

「(よっしゃ〜vV)」

「じゃあ決まり。乗り遅れちゃダメだからね?」

「それ、ラウルが言えたセリフじゃな――…

「何、なんか文句ある?」

「は〜い、ないで〜す!お散歩楽しみで〜す!」

「あ、お酒、買っといてね。」

「…はい、ご主人様。」

「よろしい。」
 
 
 
 
多少プレイを挿みながらも、なんだかんだ言って笑っている4人。

そうこうしているうちに、列車は村に到着した。
 
 
 
春大陸中部
日を拒まぬ丘の上の村

ソルサ・ファンド
 
 
 
 
農業が盛んで、村は自然の香りでいっぱい。

また、この村には要請が無い限り軍は一切近づかない、手出ししないとの契約を交わしている。

つまり、賊が入りやすい。

ここでも停車したのはそんな賊の要望によるもの。

ここから列車に乗り、ヴィナートを目指すのだ。
 
 
まぁ、あそこまで大きい賊だと、そんな臆病者のようなことはしないだろうが。
 
ちなみに、ダリア達は例外だと一応提示しておこう。
 
 
 
 
「なんか駅ちっせ〜…。前のと大違いだな。」

「ま、この村に合わせた外装でという条件で作られたものだからね。」

「へ〜…ま、似合っちゃいるけど…」

『でもさ、その割りには人、多いよね。』

「質の悪そうな輩ばかりだ。手を出して騒ぎを起こすなよ?」

「質の悪そうってのは、僕らも人のこと言えないだろうけどね。」
 
 
 
 
車両から降りれば、すでに乗り込もうとする人達が列を作っていた。

その列は全て三等客室に続いているので離れてはいるが…
 
 
 
 
『ねぇ、すごく…睨まれてる気がする。』

「気にするな。奴等も、俺達が誰かくらいわかっているはずだ。」

「それでも睨むのは、彼らのプライドと性さ。」

『…面倒な性格。』
 
 
 
 
さらりと毒舌を言い放つダリアに、3人は苦笑いを浮かべる。

いや、冷や汗とも言えるか。

自分達は気を付けよう、と心中に刻んでいることだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
――…
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