WIND

□No.15 心で、涙を…
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バレルを脱出…

森内を逃走…
 
 
 
そこで、前方から来る怪しげな貨物馬車の抹殺と、後方から来る陸軍をおびき寄せ撒く…という同時作戦を二手に分かれて実行することにした。 
 
 
前方にはダリアとスティングが。
後方にはジンとラウルが。 
 
 
 
この組み合わせが、今後を操作することを、まだ彼らは知らない…。 
 
 
 
 
 
 
 
一一一一… 
 
 
 
 
 
 
 
『…で、まずどうする?』 
 
 
 
こちらはダリアとスティングの二人。
もうすぐそこに貨物馬車が来ているので、考えている暇はないが、一応スティングの意見を聞いてみることに… 
 
 
 
 
 
「まず、普通に横切る。」 
 
 
 
…あまり聞いても意味はなかったような…。ぃゃ、まぁあるとしておこう。
だが、次からダリアは自分の意見をスティングに言い、同意を確認する事になるだろう。 
 
普段なら判断力のあるスティング。戦闘時にそれを使わないのは、何をしても勝つという自信が強く根付いているからだろう。
彼は気付いていないだろうが… 
 
 
 
 
 
 
「行くぞ。」 
 
『…ん。』 
 
 
 
 
 
スティングの合図と共に、二人は木の影から出て、道を歩み始めた…。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
サッ!…
…サッ!…
 
 
 
 
 
 
道に出た途端、人間と魔物の全員の視線が二人に集まった。と同時に、殺気も… 
 
 
 
ただならぬ雰囲気の中、ダリアとスティングは平然としながら貨物馬車の脇を通る…。
 
 
 
 
 
貨物車を引く大きな魔物が2体。目付きの悪い人間が5人。貨物車の中にもまだ何か居そうだ…。
 
 
 
 
 
 
「(すれ違った瞬間が…)」 
 
『(勝負ね。)』 
 
 
 
二人は心の中で、同じ事を考える。そして、相手も同じ事を考えているだろう。

互いに殺気をぶつけ合いながら、ゆっくりとすれ違ってゆく… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、互いに背を向けあった瞬間… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
バッ!!一一一…



ダリアとスティングが瞬時に武器を装備して振り返る。

しかしそこには… 
 
 
 
 
『こんなの居たッ?ι』

「貨物車の中だろッ!避けろよッ!!」



二人が振り返るとそこには影ができており、上を見れば狂暴そうな巨大な魔物が牙をむき出しにしていた。 
 
 
 
ドオオォォオオンッ!!!!
 
 
 
 
着地したのはダリア達が飛び退いた直後の地。
だが間も置かずに魔物は次の攻撃態勢に入った。 
 
 
 
 
 
『牛…象…鹿…あと何掛け合わしてると思う?』

「ライオンか…?ι」

『かもね。』 
 
 
 
 
 
後方に飛び退いた二人…。呑気な会話をしながらも、剣を構えた。
だが相手の方も、武器や銃を構えて戦闘態勢に入っている。彼らは予想したとおり、見られてはいけない事をしているのだろう。つまり目撃者は必ず殺すのだ。 
 
 
 
 
 
『騒ぎ立ててしまったな。任務失敗?』

「瞬殺すればまだ間に合う。殺るぞ。」

『了解。』
 
 
 
 
ダリアはいつもと違う構え方をした。おそらく技を出すのだろう。 
 
 
 
グオオォォォォォッ!!! 
 
 
 
気が付けば貨物車を引いていた同じような魔物も並び、凄まじい雄叫びをしている。

巨大な魔物が計3体。
ダリアを楽しませるには十分だろうか…。 
 
 
そしてダリアは片方しかない剣を構え、一度目を閉じ… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『………頷き……。』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
獣のような、目を開いた… 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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