WIND
□No.11 血を求め…
2ページ/16ページ
屋根の上を瞬間的に飛び移るダリア…
そのスピードは尋常じゃなかった
ジンが予想した通り、軽くだが雨が降ってきた
しかし、ミッション中に雨は好都合
足音や匂いを消してくれる
殺される側には『雨』というだけで恐怖を与えることもできる
殺す側にも、確かにデメリットはあるかもしれないが…
私にはNo.97のスコープがある
唯一信じられる、頼もしい味方だ
辺りは真っ暗だが、ダリアはそのスコープのおかげで殆どが察知できていた
目的の場所の近くまで来たダリアは、一度止まり、懐からブラックカードを取出し確認をする
『え〜……暗殺相手は…』
ブラックカードには、まるで血をイメージしたかのような赤黒い色の文字で、記されていた…
今回の相手は凶悪殺戮者
依頼主は非公開と記されている
文句を言いたくなるが、なんとかダリアは心を沈め、ブラックカードを再び折り、懐に戻した
そして、気配を完全に消し、暗闇の中に交じっていった…
雨は次第に強くなり、バレル全体は暗闇に包まれた…
.