WIND

□No.8 出会い
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丘の頂上からバレルまでは、差程遠くはなかった。

早く雨から逃れたいという二人の思いもあり、すぐに辿り着いた。 
 
 
 
 
 
 
 
一一一一… 
 
 
 
 
近くから見たバレルは、ザナルよりも遥かに大きく、夜景がとても綺麗だった。 
 
 
だが、景色や街の風景を楽しむのは後。
二人は雨が凌げる門のところで一先ず体を休める。 
 
 
 
 
 
 
 
「やっと…着いたぁ…ι…もー無理!疲れた〜ι足痛いー寒いー!」
 
 
 
さっきとは違い、優越感を感じながら文句を天井にぶつけるラビン。 
 
自然に体が倒れていく。 
 
 
 
『コレはさすがに厳しかったな。』 
 
 
 
隣で倒れているラビンを横目に、ダリアは膝をつき、座り込んだ。 
 
 
 
 
 
 
そんな二人を見つけた見張りの門番が、足早に近づいてきた。 
 
 
 
 
「おい。大丈夫か?」 
 
「こんなところに女が二人も…。兎に角タオルを!」
 
「あ、あぁ!」 
 
 
 
女の子を珍しがりながら、一人の門番はタオルを取りに見張り部屋へ駆け込んでいく。 
 
もう一人の門番は、二人に少し近づき、事情を聞く。 
 
これは仕事。 
 
 
 
 
 
「いったいどうしたんだ?こんな雨の中、傘もささずに…」 
 
 
『ザナルから歩いて来て…途中で降ってきたから。』 
 
「なッ!?ザナルからだと?!」
 
 
 
 
 
門番は目を見開いている。

そこにタオルを持った門番が戻ってきて、二人に渡した。 
 
 
 
 
 
 
「あったか〜い…vV」 
 
『さすがにヤバかった…』 
 
「ヤバいなんてもんじゃないよ〜ι普通なら死んでる…ι」 
 
『かもね…ι』 
 
 
 
 
 
 
 
二人はタオルに包まり、ささやかな幸せを感じる。

その光景は二人の門番だけでなく、街の中の野次馬も羨ましそうに眺めていた。 
 
 
 
 
 
「おぃ!女だ!若い女が二人も来たぞ!」 
 
「うひぁ〜…カッワイイ〜vV」 
 
「ほんとだ……///……?なぁ、あの奥で倒れてるの…空軍兵じゃねぇか?」 
 
「…本当だ。…死んでるのか?」 
 
「こっからじゃよくわかんねぇなぁ…ι」 
 
 
 
そんな会話がダリアの耳に少し入り、このままじゃまずいと思い、重たい体を持ち上げた。 
 
 
 
「!?…大丈夫か?まだ休んでいたほうが…」 
 
『いゃ…もう大丈夫。タオルありがと。』 
 
「ぁ……あぁ…」 
 
 
 
 
門番の優しさはありがたいし、できるならば自分もそれにすがりたい。

だが、誰かがこれを勘違いして空軍に言う前に、自分で知らせなければ信頼してもらえないだろう。

だからダリアは立つ。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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