短編置場
□ヤキモチ。
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その言葉に思わずゼロスが反応する。
「さっきから、って…。」
「え…あっ!」
ゼロスにそう指摘されて、ロイドの顔が一気に赤く染まる。
その様子を見た途端、ゼロスの心に、何か暖かいものがじんわりと広がり始めた。
「…ロイド君、もしかしてさっきからずっと俺さまの事見ててくれてた、とか…?」
その言葉に、ロイドはさらに顔を俯かせてしまったが。
その後に呟いた言葉は、ゼロスの耳にしっかりと届いた。
「当たり、前だろ…。」
…好きな奴から、目を離せる訳無いんだから。
次の瞬間、ゼロスは力いっぱいにロイドを抱きしめていた。
「うわぁっ!?」
あまりに突然の出来事に、ロイドは思わず悲鳴にも似た様な声を上げる。
村の人間達が居ると言うのに何をするんだ、と睨み付けようとしたが。
「ロイド……。」
その声と見上げた時の心底嬉しそうな表情。
つい何も言えなくなってしまった。
…というか、むしろ見惚れてしまって。
恥ずかしさを紛らわす為に、少々強めの口調で言った。
「不安になったら、さ。何度でも言えばいいんだからなっ!!」
いつの間に自分が不安になっていた事に気付いたのだろう。
あまりにもロイドらしくて。
愛しくて。
「……ああ。」
ゼロスは、ロイドに触れるだけの口付けを送った―――。