短編置場
□ヤキモチ。
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「何の…って。女の子をそんなに怖い顔で睨んでいたら、怖がられるんじゃないの?」
怖がらせる為に睨んでるんだっつーの。
思わず心の中でこんな突っ込みを入れる。
そう、あの少女をあの少年の傍から引き離す為に。
…自分の視線の少し先にいる、ショコラをロイドから引き離す為に。
ショコラ、というのは先程のロイド・ジーニアス追放問題の解決のきっかけとなった少女で。
ゼロスが仲間達と出会う前の旅の最中に、ロイド達と色々あったらしい。
何やら憎まれていた、と言うような話ではあったが。
だが、明らかに、今少女が見せているのはそんな表情ではない。
むしろ、話相手であるロイドに恋心を抱いているような…。
そこまで考えて、ゼロスはより一層表情を険しくさせた。
「…はぁ、もう、知らないよ?」
呆れた表情のままため息をついて、ジーニアスはそのまま去って行った事にも気付かず、ただゼロス
はひたすら前方を睨み続ける。
……自分でも手に取るように分かる、独占欲。
恋人同士で、自分を見てくれている、と言うのは分かっていても、ひょんな事からすぐ不安になって
しまう心。
どうしてこんなにも心はもろく、弱いのだろう。
ああ、面白くない…。
早く話を終えて欲しいとは思うのなら、自分から割り込んで行けばいいのだが。
…なかなか踏み込む勇気は、無い。