短編置場

□短編集。
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星降る夜に



「すっげーな、手が届きそうだぜ!」
「んな子供みたいな発言、いい加減卒業したらどうよ?」

星が良く見える夜だった。
俺とロイドは、犬…ノイシュの大きな体に背中を預け、何気ない会話を交わしながら満天の夜空を眺めていた。

「う…うるさいなっ!思った事を言って何が悪いんだよ!?」
「うひゃひゃひゃ。まだまだ心がお子様な証拠だな〜。」
「…ほっとけ!」

いつもこんな風に俺の言葉にくるくる表情を変える、俺の愛しい恋人。

「まぁまぁそうむくれんなって〜。」

次は、とびきりの甘い言葉を。

「そういう所が、俺がお前に惚れた原因でも…って。」

ふとすぐそこにある横顔を見れば。

「…寝てるし…。」

お休み三秒、ってか?

「まったく…これからだったっつーのに。」

心なしか熱を持った顔は無視。
あー俺さま一人ではずかし…。

「…ぜ、ろす…。」

いきなり名前を呼ばれて体を硬直させた。

「…ロイド…?」

返事は、ない。
顔を覗き込んでみても、寝ているようにしか見えない。
…んだよ寝言か…。
何だ?どんな夢見てんだ?

「ずっと、一緒だぞぉ…。」

………。

思わず片手で顔を隠す。
…恥ずかしいっつーのマジで…。

(寝ていてもロイドはロイド、だな。)

俺はロイドの肩を抱き寄せた。

「…当たり前だ。一生、お前の傍から離れてやらねぇからな。」

星降る真夜中の草原に、二人きり。
相手が知っているかも分からない、小さな小さな誓いが交わされた───。
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